三陰交は流産のツボなのか
三陰交は流産のツボなのか
巷に流れる噂、、果たして本当なのでしょうか!?
三陰交は、妊娠初期には流産のツボ、妊娠後期には安産のツボと言われています。
同じツボなのにこんなにも作用が変わるものなのか。
なぜ言われるようになったのか、実際にはどうなのかご紹介していきます。
流産のツボと
言われるようになった始まり
中国の古典(1026銅人兪穴針灸図形)に 鍼で三陰交と合谷を使い、流産させたという記載があります。
古典が書かれた当時の背景も興味深く、 宋の後廃帝が皇太子だった頃の逸話であり、また流産のツボと記載されたのは、政権抗争の為だったとの説もあります。
『宋に太子がいた。 医術をよくした。 町に出かけたとき妊娠した女性に出会った。
太子は診察して胎児は女の子であると言った。
そして医師の徐文箔にも診察させたところ 男の子と女の子だと言った。
太子はすぐに解剖してみようとした。
そこで徐は鍼をすることを申し出、三陰交を寫し、 手の陽明合谷を補した。
刺鍼に応じて胎児が流産された、 故に妊娠には刺鍼をしてはいけない。
中国の宋の時代の王子が医術をする事を好んだ。
妊婦のお腹の中の子供の性別を診断し、 自分の診断を確かめる為に 妊婦を解剖して確かめるといいだしたので、 不憫に思った医者が鍼で流産させた。
その時に使ったツボが「三陰交と合谷」だった。』
しかし、この逸話の真偽は明確ではなく、 後廃帝の帝位を奪った蕭道成の行為を 正当化しようとして、 後廃帝の残虐性を強調してある文章だとも言われています。
真実は定かではありませんが ゴシップ好きとしては気になります。
現代で見た妊婦と三陰交
文献を紹介していきます。
①一人っ子政策による三陰交の鍼灸治療
1979年に中国の一人っ子政策の取り組みで、中絶を目的に三陰交と合谷に鍼灸治療を行った例があります。
300人に試みて1人も流産させることはできませんでした。
また、鍼灸受けたうち294人が、受けなかった妊婦より出血や陣痛がきてから出産までの時間が少なく、安産だったという統計になり、鍼灸はむしろ安産に導くという結果になりました。
1983年に再度50人に行いましたが 、同様に流産しませんでした。
②子宮の神経性調節と鍼灸
Dunnらは、妊娠20日後の妊婦31名を子宮底にあたる腹部にベルトで固定し子宮収縮を測定し、同時に胎児の心拍数を観察しながら、太衝穴と三陰交穴に低頻度(30Hz)TENS刺激を4回行いました。
結果は、心拍数に影響を与えず、対照群より有意に子宮収縮の回数と収縮力が増加したが、陣痛促進性の運動は少なく、一部は刺激停止で運動も消失しました。
③妊婦及び分娩に対する三陰交施灸の効果
妊娠6ヶ月以降の女性21名を対象に三陰交施灸を行いました。
浮腫、疼痛、出血、分娩時間において、良い結果に繋がったと報告されています。
①下肢の浮腫並びに倦怠感の消失
②分娩時、開口期陣痛の緩和
③分娩時の出血量の減少
④分娩所要時間の短縮
以上の結果から、施灸により軟部産道が柔軟になるために伸展性が良くなり、その結果開口期陣痛が軽減しても容易に頸管の拡大が促されたと考えます。
また、全身の疲労も少なく、従って分娩時の出血量は少量となり、分娩後の子宮収縮が良好となります。
元来、妊娠・分娩時に身体の変化は複雑多岐で種々の因子により左右されるので、僅かな例数の観察を持って施灸の結果を結論づけることは無理でありますが、本報告の全症例が母児共に極めて順調な経過をとり退院したことから考え併せても一応頷けることと思います。
最後に
三陰交による流産の根拠を科学的に証明する要素は見当たりませんでした。
また、鍼灸治療による作用は、妊娠後期にもいいことがわかります。
当院でも三陰交を使用し治療を行っていますが、妊娠前〜妊娠初期に使用しても流産率が上がるということはありません。
また、JISRAMでも同様の方法を実施していますが、流産率が上昇するということは観察されていません。御安心下さい。
安心納得して鍼灸を受けて頂くのが一番ですので、どうしても不安な方はお申し出下さい。。
(文責:岩佐ゆかり、編集:竹永百華)
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