耳管機能低下
耳管開放症&耳管狭窄症

はじめまして、田中はり灸療院の遠藤彰宏です。

現在当院には年間600名を超える新患の方がさまざまな症状で来院されますが、その内4分の1の方が耳鼻科疾患で来院されます。
1年間に来院される耳鼻科疾患の内訳は、突発性難聴が約80名、顔面神経麻痺が約40名、耳鳴りが約30名という内訳です。
(主訴:突発性難聴で耳鳴りを持っている方は、突発性難聴でカウントしています)

耳管開放症や耳管狭窄症については、他の耳鼻科疾患で来院される方や他の症状で来院される方からも相談を受け、治療をしております。

症状が出ると非常に不快感があり、他の疾患と比較することが難しい。
耳はとにかくデリケートな器官なのです。

超小型の精密機械の内耳と、その情報を受け取るネットワークである神経。
そこに隣接している圧を変換するための換気機能が「耳管」の持つ役割です。

病院の治療においても「診断」の難しさと「治療」の選択肢の少ないという点から、鍼灸院での治療は大切な役割をもっています。

鍼灸治療では、耳周辺、顎周りの局所的な治療と、全身の治療を組み合わせて行うことで、症状の改善を狙っていきます。

症状が改善し、快適な生活がおくれるようにしっかりとサポートさせていただきます。

田中はり灸療院 遠藤彰宏

耳管開放症、耳管狭窄症以外でお悩みの方は下記より専門のページをご参照ください。

■突発性難聴お困りの方はこちらへ
■耳鳴りについてお困りの方はこちらへ

 

 

社会と共に生きる


患者さんの健康を守るため。
スタッフの健康を守るため。
社会を健康に保つため。

COVID-19と共存しながら、どう生活していくのか。
私たち自身もしっかりと考えながら
そして、社会環境に適応しながら
診療を継続していきたいと思います。

田中はり灸療院 一同

「耳管」


耳管は中耳腔で鼻の奥とつながっています。中耳腔と鼻の奥をつなぐ管を耳管(じかん)と呼びます。
耳管は、通常は安静時には塞がっている(閉鎖している)が、欠伸をしたり、ものを飲み込む時(嚥下時)などに一瞬だけ(1秒以下)開きます。
この、普段は閉じていて必要なときに開くのは、中耳腔の気圧を外気圧と同じに調整するためです。

耳管がきちんと開いてくれないという疾患が耳管狭窄症。
耳管がきちんと閉じないという疾患が耳管開放症。

耳管狭窄症の原因には、副鼻腔炎、アデノイドの肥大、腫瘍などによって耳管が圧迫され症状が出るもの。

耳管開放症の原因は、風邪や急激な体重の減少、妊娠や出産、ストレスなどで起こるとされています。

耳管開放症とは

「耳管開放症」は、耳管が一定時間連続して開放していることにより、耳閉感や自声強聴(自分の声が大きく聞こえる)、フワフワしためまい、低い音が聞き取りにくい、などの不快な耳症状を訴えることが多い。

この病気の男女比では女性が多く、疲れや睡眠不足の状態が続いたり、運動後の脱水や、急激に体重が落ちた時に起こりやすくなります。
妊娠初期につわりで体重が落ちた時など、ダイエット以外でも起こります。
耳管開放症は1840年にMullerが報告し、次いで1867年にJago氏 によって初めて報告された病気です。

耳管開放症の主な症状

【音過敏】
音に対する過敏さから「音程が二重に聞こえる」「音が割れる」

【耳閉感】
「飛行機や、トンネルで耳が詰まった感じがする」
「自分の出している音の大きさがわからない」
頭を下にしたり、横になったり、お風呂に入ると一時的に良くなりますが、激しい運動をしたりすると、また悪化する。

【自声強聴】
自声強聴は、「自分の声が響いて不快になる。症状の強い方の中には『話すのが嫌になる』」という方もいます。

耳管開放症の患者さんに「原因になるストレスはありますか?」と質問すると「ある」と答える方が多く、
耳の症状だけではなく、頭痛、顔色が悪い、手足の冷え、立ちくらみなど、自律神経からくる症状や、末梢循環の障害、
疲労感や神経質など、様々な要因が絡み合って訴える方が鍼灸院に来院されます。

また、耳管開放症は症状の持続時間が異なるため、耳鼻科受診時には症状がない場合には、耳管狭窄症と誤って診断される場合や、様々な身体症状や耳の不快が強すぎて、うつ病と診断されてしまうケースもあります。

耳管開放症の診断基準(案)

 

1.3主張
(耳閉感,自声強聴,自己呼吸音聴取)
2.   体位変換
3.他覚的所見
(鼓膜の呼吸性動揺,話声の聴取,耳管機能検査)

 

耳管開放症・耳管狭窄症
病院での治療方法

耳管狭窄症は、原因疾患が特定できる場合には原因に対する治療が基本となります。

原疾患が副鼻腔炎の場合には鼻の治療、アデノイドの場合には手術を検討をされるケースがあります。
中耳に貯留液が溜まっている場合には、貯留液を取り除く目的で耳管通気が用いられます。
保存的な治療で改善しない場合は、鼓膜切開や鼓膜に換気チューブを取り付る治療が行われます。


耳管開放症は、最近漢方薬(加味帰脾湯ツムラ137番)の有効性が認められ、注目されています。
改善しない場合には、耳管周囲への脂肪やコラーゲンの注入、耳管へのバルブの挿入などを行っている施設もあります。

 

当院が耳管機能低下症をする上で
大切にしていること

当院では鍼灸治療をする前に、現在発症された耳の不調が
「なぜ発症したのか」
「現在どういう状態にあるのか」
を知っていただく必要があると考えています。
当院では「耳管開放症」「耳管狭窄症」に対して『耳管機能低下症』という表現を採用しています。

「耳管機能不全と滲出性中耳炎」(伊藤真人)

耳管機能不全には「耳管狭窄症」と「耳管開放症(閉鎖不全症)」があるが,いずれも滲出性中耳炎の原因となりうるものである。
滲出性中耳炎の耳管では、耳管の能動的な換気能が障害されるために、中耳圧の平衡は行われずに中耳腔は陰圧となり、中耳の血管・リンパ管からの液の漏出が起こるために滲出性中耳炎が発症する。
「耳管狭窄症」は種々の機能的もしくは機械的原因によって耳管が狭窄・閉塞した状態であり、「耳管開放症」は安静時には通常閉鎖しているはずの耳管が開放している状態である。
この一見異なる病態が、ときに混在している場合もあり、両者を合わせて耳管機能不全として取り扱うのが適当である。

『よくわかる病態生理14耳鼻咽喉疾患』日本医事新報社

両者は病名は違うものの、「耳管開放症」の方も、ある時点では「耳管狭窄症」の症状が出ていたり、
また「耳管狭窄症」の方に「耳管開放症」の症状が出たり。

「通院する病院が変わる場合」「担当するお医者さんが変わった場合」などでも
「耳管開放症」「耳管狭窄症」の病名が変わったりします。

結局どっちなの?という質問をよく受けますが、
伊藤真人先生の解説にあるように「耳管機能低下症」と呼ぶのが一番しっくりきています。

 

『突発性難聴update』
ENTONI 183号
『ストレスと耳鼻咽喉科疾患』
ENTONI 121号

『聴覚異常感をどう診る・どう治す』
ENTONI 188号

『耳鳴のすべて』
ENTONI 186号

『驚異の小器官耳の科学』杉浦綾子

『鍼灸Osaka136 耳鼻咽喉科疾患を治療する』

その他にも医学情報を集めながら、目の前の患者さんに何ができるのかを考え続けています。
耳鼻科疾患に強い鍼灸院だからこそできることを治療の中でも提供していきたいと思います。

生活時に気をつけて欲しいこと

体重減少が耳管へ影響があると考えられる場合
体重の増加もしくは維持
過度なダイエットを控える
多めの水分摂取
スカーフ・ネクタイの活用
鼻すすりをやめる

 

※スカーフ・ネクタイの活用
症状が出現した時に、首に巻いてあるスカーフや、男性ではネクタイを少し締めることで、症状を改善させることが可能です。
これは、頭部からの静脈の戻りをあえて少し悪くし、そのことが翼突筋静脈叢の容量を増やしてあげることになり、耳管の内腔を狭くすることに繋がって症状を軽減させるという方法です。
仕事中に突然、症状が強くなったときに可能な対処方法です。

当院での鍼灸治療とスーパーライザーの併用療法

当院を耳管機能不全で受診される方は「耳鼻科ですでに一定期間の治療を行っているにもかかわらず、症状がなかなか思うように改善しない。」という方々です。

病院では、「原因」となっている構造の異常がないかどうかを確認した上で、その原因に対する治療を受けています。

当院を受診される方の多くは、耳症状が発症したころに「大きなストレスがあった」「仕事がかなり忙しく過労だった」という方が非常に多くいらっしゃいます。

また、耳症状の増減にも「ストレス」「過労」が大きく関与し、その積み重ねで睡眠障害に発展して、さらに悪化という方が多くおられます。

また、耳症状以外にも

呼吸器トラブル鼻炎
気管支炎ドライアイ
円形脱毛症末端冷え性
頚肩の痛み生理痛や生理不順
筋緊張型頭痛腰痛

といった自律神経症状を訴える方が多くおられます。
そのため、突発性難聴のように短期間に内耳(蝸牛)が悪くなった、というような限定した箇所のみの異常であれば、内耳への循環を最優先させるように原因局所に狙いを定める治療を行います。

耳管機能低下症の場合は「耳管がもっている機能を正常化する」ということを目的に全身の治療を行うことで、自律神経を整えながら、「疲労の回復」「ストレスを軽減」「睡眠の改善」という点を「鍼」「灸」「スーパーライザー」を活用しながら治療していき、耳の症状を改善させていきます。

治療の目的及び方法

1)全身の状態を良くすること。

耳症状だけを治療するのではなく、土台部分からしっかりと治療を行う。
その結果、体調が回復し、耳の症状を改善させる。

このことは、他の耳鼻科疾患と比較すると、
「突発性難聴は内耳に集中して行うため、スーパーライザーを内耳へ照射する」
「顔面神経麻痺は、顔面部の神経の再生を促すために顔に鍼をする」
という原因局所へ注力する治療とは、大きく異なる治療計画です。

耳管機能低下については、全身性の治療が必須と考えていますし、その治療で成果が出ています。

使用する鍼について

鍼治療で使用する「はり」は先が注射針よりずっと細く、皮膚に滑り込むように刺さっていくため、刺激が少なく痛みを感じにくい特徴を持っています。

また、鍼を刺す際に、「鍼管(しんかん)」と呼ばれる筒状の器具を使うことで、刺す時の痛みを抑えられます。

この鍼管を指先で軽く叩けば、鍼先が瞬く間に身体に進入します。

これが日本が誇る「管鍼法(かんしんほう)」と呼ばれる江戸時代から続く特徴的な鍼の方法です。この方法で鍼をすることで、いつ刺されたかも気がつかない刺入を実現します。

 

鍼の太さについて

鍼治療が痛くないもう一つの理由として、鍼の太さがあります。

蚊が刺す感覚を痛いと感じる方は少ないように、当院で使用している鍼も非常に細く、蚊の口先とほとんど変わらない鍼を用いています。

150919-0016

よりやさしく、より再現性のある治療へ

SUPER LIZERの併療

当院ではSUPER LIZER(東京医研社)の近赤外線(直線偏光近赤外線療法)を鍼灸治療に合わせて併療しております。

SUPER LIZERは多くの大学病院で、多くの疾患・症状治療に使われています。

①近赤外線は身体の中の一番深くへ届く光です。
②直線偏光処理した光は、傷を早く治す力があると言われております。

この2つの特徴を鍼灸治療と組み合わせることで、より大きな効果が発揮されます。

深達性

体内の水に反応しない特殊な光を放出し、深部の神経節に照射(SGR:星状神経節近傍照射)を行うことで、星状神経節ブロック(SGB)と同様の反応を引き出すことが可能です。

スーパーライザーは他のヘリウムネオンレーザーや、赤外線治療器より生体深達性が高い波長帯を選択

①過剰ストレスによる緊張をときほぐします

スーパーライザーによる星状神経節照射(SGLまたはSGR)によって副交感神経の働きが高まり、リラックス効果が得られます。
これで、ストレスや不規則な生活によって出ていた自律神経失調による症状の改善を狙います。

過剰ストレスによる交感神経緊張は、徐々に、時に急激に、身体に影響を及ぼします。
ストレスに気づいてはいても、対処法が見つからないという方も多いのではないでしょうか?
ストレスは生活習慣病のリスクとして極めて重大なものです。
生活習慣病を発症しないためにも予防が大切です。

②全身で血流が良くなります

血行を良くする副交感神経に直接アプローチするため、照射が終了して15分後でも血行が良い状態が続きます。
血行が悪い所には栄養や酸素が届きづらく、創傷治癒が遅れ、免疫力の低下、老廃物の代謝も阻害され、老化が進みます。
スーパーライザーで手足だけではなく胃腸などの内臓や脳を含めた全身の血行を良くしておくことは、今ある症状を取り除くことだけでなく、将来の病気の芽を摘むという予防医学効果も期待できます。

星状神経節照射後の手と顔の温度変化
スーパーライザーの照射によって15分後の体温が上昇している様子

症 例

30代女性 職業:医療関係 耳管開放症(右)

耳の違和感が出る前から、冷え性、下半身の浮腫み、便秘、頸肩の痛み、腰痛持ち

数年前から右耳に違和感が出て、自分の息の音が響いていた。

時々違和感を感じるくらいだったので、気にしなかった。

ここ1~2週間、酷く違和感を感じるようになり、仕事が休みの日に病院へ。

休みの日は症状が出ないので、聴力検査もしなかった。

疲労やストレスがかかっているのだろうということで、漢方ツムラ108:人参養湯を処方された。

飲み始めると、便秘が解消された。

仕事の日は寝起きから耳の調子が悪い。仕事するとさらに悪化。

お辞儀をするように頭を下げると症状が無くなるが、頭を戻すとすぐに症状が出てくる。

自分の息の音で、先輩方の声が聞き取りづらく、何度も聞き直してしまう。

家に帰ると徐々に治ってくる。

仕事で疲れているので、早目にお布団に入ってもなかなか寝付けない。

病院を受診して5日後に鍼灸院へ

 

ー鍼灸治療1回目ー

仕事の仕方を変えれないかを一緒に考えて、実行してもらうことにした。

鍼灸で頸、肩、腰、背中の筋肉を緩めた。

治療をした夜はすぐに寝付けた。

ー鍼灸治療2回目ー

(約10日に1回鍼灸治療している)

身体に大きな変化無し。

仕事の仕方を変えることができて、気持ちが楽になった。

ー鍼灸治療3回目ー

頸、肩、腰、下半身の浮腫みが少しずつ軽減してきたのがわかる。

耳の調子も良い。

ー鍼灸治療4回目ー

(調子が良い為、治療期間を1,5倍空けてみた)

身体全体の調子が良い。

本人としては、治ったかもしれないと思う日々。

頸、肩、腰、が痛いと思うことが無くなった。

 

 

初診料

 初診料
 一般 2,200円
学生 1,100円

 

治療費

治療費
耳鼻科疾患6,600円
一般治療6,600円
学生3,300円

※価格はすべて税込み価格です
※土曜日・日曜日の診療の場合には別途+1100円頂戴いたします。

現金以外にPayPay,Alipayでのお支払いが可能です。


【耳鼻科疾患 担当鍼灸師】


遠藤彰宏 AKIHIRO ENDO
はり師
きゅう師
あん摩・マッサージ・指圧師
大阪府出身
森ノ宮医療学園専門学校 鍼灸学科卒業
京都佛眼鍼灸理療学校 専科卒業
所属団体
JISRAM(日本生殖鍼灸標準化機関)
鍼灸SL研究会
日本臨床鍼灸懇話会
日本鍼灸師会
全日本鍼灸学会
福岡県鍼灸師会
福岡市鍼灸師会

当院での治療が皆様の一助になれるように、真摯に臨床に取り組んでまいります。

田中はり灸療院 遠藤彰宏

その他,当院の専門分野


男性不妊のための鍼灸治療

造精機能を高め精子の数と運動率の向上へ


椎間板ヘルニアによる
「痛み」「痺れ」を改善

MRIで見つかる異常とのギャップ
局所炎症を改善

 


ぎっくり腰・急性腰痛

鍼灸こそがぎっくり腰に対する
最高の治療

 1-2 回の治療で改善


「膝痛」「変形性膝関節症」

変形の程度と膝の痛みは比例しない
滑膜の炎症を抑える

 


「四十肩」「五十肩」

それぞれの時期に合わせて
「治療」や「リハビリ」を指導

 

電気を流す美容はり

「全身の調整」×「美容はり」
田中はり灸療院のSpecial

 

逆子の鍼灸治療

 エコーを使って胎児の位置を確認

 

突発性難聴の鍼灸×レーザー照射

内耳循環に集中させ改善を狙う
聴力固定までに行いたい
耳鼻科との併用療法

顔面神経麻痺「Bell麻痺」「Hunt症候群」

顔への適切な指導とリハビリの徹底

 


耳鳴りに対する鍼灸治療

「内耳」×「自律神経」×「認知行動療法」