逆子(骨盤位について)

逆子(骨盤位について)

逆子は赤ちゃんの頭が上を向いている状態を「逆子」と呼び、医学的には「骨盤位」と呼ばれています。
まず現在逆子になっている方に知っていただきたいことは、自然回転があるということです。

そもそも胎児は逆子の状態で成長していきます。
ですので、妊娠週数28週頃のはじめて「逆子ですね」と言われる期間より以前も逆子であるケースは多く。
また、宇宙遊泳をしているように頭位と逆子を繰り返したりもしています。

28週では約30%が逆子。
その後、37週頃までに、約3ー5%に逆子は自然に回転する。

これが医学的、文献等で紹介されている逆子と自然回転に対する指標になっています。

当院を逆子が主訴で来院する方の来院する週数が28週頃に集中すると約20%の方は来院時に頭位に改善しています。
32-34週が平均になるとそれでも約10%の方が頭位に改善しています。

逆子は気の乱れで起こるのか?
冷えは原因といえるのか?

「他の鍼灸院にいったら、気の乱れだと言われました!」
「逆子は冷えが原因だっていわれました」っていう驚きの説明を受ける方がいます。
気の乱れには何の根拠もありません。

「冷えに関しても全く影響をしていないか?」と聞かれたら「全くではない」

「冷えは逆子の原因か?」聞かれたら「答えはNO」といえます。

もし冷えが原因であるなら、地域差や季節での逆子の発生に違いがあるはずですが、そういった報告はありません。
冷えがあっても逆子は自然に改善したりもする。

直接的な因果関係はないといえます。

一方で、冷えが強くなると、お腹が張りやすいという訴えをする方は多くおられます。
わざわざ冷やす必要はないと考えています。

ここでお灸の話題を一つ。
お灸は熱刺激です。
小指の至陰、三陰交という経穴に刺激をしますが、ここで行っているのは温めるという行為ではなく。

熱の刺激を行うと、子宮が緩むという作用を導くために行っています。

これが、足湯をすることや、ドライヤーで温めること、小指をマッサージすることとは異なる刺激だということです。

逆子ってなんでなる?
逆子になるリスク

逆子の多くは特別な原因があるわけではありません。

1.子宮筋腫
2.先天的な子宮の形態異常
3.前置胎盤
4. 羊水過少や羊水過多
5. 多胎妊娠(ふたごやみつご以上の妊娠)
6. 子宮内胎児発育遅延
7. 赤ちゃんの形態異常(水頭症や無脳症、仙尾部奇形腫など)
8. 前回妊娠が帝王切開だった

また、1人目のお子さんが逆子であった場合、2人目も10%の確率で逆子になるという報告もあります。(下記症例4のケース)

これらは確かにリスクにはなりますが、逆子の絶対的な要因とはなりません。検診時に「臍帯が赤ちゃんのくびに回っているから、これが原因かもね。」と言われている方が逆子が治ることもありますし、帝王切開後に、検診ではわからなかった要因があったから「これが原因だったのかな?」と想像はされるのですが、本当にそれが原因だったかはわからないのが現状です。

赤ちゃんの向きを確認する大切さ

当院では、超音波診断装置(エコー)を使って赤ちゃんの向き(胎向)を確認し、逆子かどうかチェックを毎回行います。
逆子治療にエコーが必要な理由として
①逆子がすでに回転している場合があるため無駄な治療を控える(自然な回転)
②胎向を確認することで、逆子体操を正しい向きで指導を行うことができる
③治療の経過(2診目以降)に、改善が認められた場合に、すみやかに主治医の先生への受診へ移行が可能
※逆子の胎向の確認以外の目的でエコーは一切使用しておりません。

逆子改善の大きな要因

お子様の成長ははやく約150gずつ週を重ねるごとに大きくなります。逆子の改善には、できる限り早期に鍼灸治療を開始することが重要なカギとなります。28週に近いほど改善率も高く、37週の帝王切開に近づく程胎児も大きくなるため周りにくくなります。
できるだけ早い来院が改善の大きな決め手になります。