男性不妊
<精子力>

鍼灸治療

男性不妊の現状

現在、日本は少子化が大きな問題となっている。

その一つの要因として不妊カップルの増加があげられる。
その数は、5.5組に1組が不妊検査や治療の経験を有してることが報告されている。

不妊の原因割合男性24%

これまでの不妊の原因の多くは女性にあるのではないかと考えられてきたが、約半数は、男性にあることが明らかとなった。

男性不妊の分野は、ICSI(1992,Palermo),TESE-ICSI(1993)などの生殖補助医療技術が急速に普及したことにより、男性不妊の原因解明よりも治療が先行してきた分野である。
未だ男性不妊の原因、診断法に関して不明な点が多いが、男性因子の影響は、パートナーに問題がなくても治療はステップアップし、体外受精を行うケースもあるため、精液所見を改善させることは治療のステップダウンも含めて重要な役割を担っている。

女性の「卵子」は年齢に比例して「質」が低下
男性の「精子」は精液検査所見の悪化に比例して「質」が低下

男性は、年齢的な影響を受けることが近年わかってきましたが、女性と比較すると年齢的な影響はあるが絶対的なものではありません。
男性の精液所見を改善する目的で、鍼灸治療に期待される効果は

1)精液採取前日の鍼灸治療により精液所見を改善を狙う
2)精子が造られる約74日間を狙って精子の質の向上を狙う
3)射精障害 EDに対して鍼灸治療を行う

大きくは、この3つに限定されると当院では考えています。

精巣静脈溜など原因が特定でき、手術によって改善が見込める場合には手術療法の方が適しているとも考えられます。

ご自身のケースに鍼灸治療が必要かどうかにつきましては、お気軽にお問合せください。

田中はり灸療院 遠藤彰宏

正常な精子とは

【精液】

精液 1回の射精 2-6ml

 

【精液内訳】
(精子+精漿)=(細胞成分+液体成分)

精子 約1% (細胞成分)
前立腺液 15-30% 精漿
(液体成分)
精嚢液 40-80% 精漿
(液体成分)
尿道球腺液 精漿
(液体成分)

 

男性不妊の原因となりうる疾患

造精機能障害(82.4%)

特発性(原因不明)(42.1%)
精巣静脈瘤  (30.2%)
染色体異常 (4.4%)
停留精巣
手術後(1.4%),未治療(0.2%)
低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
先天性(0.6%),後天性  (0.4%)
流行性耳下腺炎による精巣炎

 

射精機能障害(13.5%)

逆行性射精・膣内射精不能(7.4%)
勃起障害(6.1%)

 

閉塞性精路障害(3.9%)

精巣上体炎後(0.7%)
先天性精管欠損(0.5%)
鼠径ヘルニア手術後(0.7%)
射精管閉塞(0.07%)

(『我が国における男性不妊に対する検査・治療に関する調査研究 湯村寧ほか』より引用)

精液所見基準値
(WHO第5版)

基準値
精液量(ml) 1.5ml
精子数(10/ml) 15
総精子数(10 39
総運動率(%) 40
前進運動率 32%
(前進運動精子)
40%
(前進運動率
+非前進運動精子)
生存率(%) 58
正常形態率(%) 4
白血球数(10/ml) <1.0

『精液所見基準値(WHO第5版)』

WHOの精液所見基準値についてですが、これは精液所見の正常値を表しているのではありません。「基準値」です。

この「基準値」とは、通常の性交で自然妊娠するための最低限度が「WHOの精液所見の基準値」です。

この数値を下回ると、そのタイミングでは自然妊娠は難しい。一方で、精液所見はばらつきが大きいため、『「基準値を下回っている=自然妊娠が望めない」というわけではない。』

これはどういうことか、下のグラフをみてください。

同一人物の精液所見

(出典:WHO 精液ラボマニュアル 1992年)

この精液所見は、お一人の方の精子を毎週採取し、120週精子の濃度を調査したグラフです。
精子には、このように変動大きいことが知られているため、検査数値は一回で判断せずに、複数回の検査結果を考慮する必要があります。

極端な症例では、午前中と午後でも変動があることが知られています。

いつもは午前中に精液検査があるという方は一度、午後にという選択もあっていいと思います。

男性の繊細な一面は、この辺りにも表れているようです。

 

精子力と妊娠について

「ヨーロッパの4か国の妊娠女性の検討から,5500万/mLまでは,精子濃度が上昇するほど自然妊娠に至るまでの期間が短くなる」

(Slama R,et al,2002)

「総精子数と精子濃度が上昇するほど,自然妊娠に至るまでの期間が短くなる」

(Zinaman MJ,et al,2000)

「精子運動率,直線運動速度,直進運動率が低下するほど,自然妊娠に至るまでの期間が長くなる」

(Buck Louis GM,et al.2014)

「正常形態精子率が低くなると,IUIならびにIVFの成績が不良となる」

(Van Waart J,et al,2001)(Check ML,et al,2002)

「IVF/ICSIにおいては、精子パラメーター(尺度)は妊娠率に影響を及ぼさない」

(Palermo GD,et al,2017)

 

日常生活の注意点

1.禁煙

2.精巣静脈瘤があれば治療

3.禁欲期間は短く

4.トランクスを履くことで、睾丸を身体に密着させない

5.サウナを控える

6.自転車での股間に対するサドルからの刺激を避ける

7.ノートパソコンの膝上での使用

 

当院で顕微鏡を導入した理由

顕微鏡の導入は大きな理由として2つ。
1つは、スマートフォンを使用してセルフチェックができる機会になりました。

第64回日本生殖医学会(2019年神戸)に参加をしましたが、株式会社リクルートライフスタイル 入澤諒氏から“スマートフォン精子チェック「Seem」が実現する,男性参加型の妊活”

男性がこれまで精子をチェックするためには、病院を受診するしかなかった時代から、精子を少なくとも見ることができる時代になりました。

「seem」 TENGA MEN’S LOUPE」
株式会社リクルートライフスタイル
(RECRUIT LIFESTYLE CO., LTD.)
TENGAヘルスケア
(TENGA Healthcare Inc.)
クリックすると新しいウィンドウで開きます クリックすると新しいウィンドウで開きます
3,980円 1,650

この製品のメリットは、なんといっても精子が見えること。
何か問題があるのでは?と疑った場合には、病院を速やかに受診することを想起することが可能ということです。
精子が正常に観察できた場合や、精子が極端に少ない場合の判断はしやすいと考えています。

デメリットは、
精子を観察するには、1回では不十分という点
精子はいるが、正常値には満たないという方に対して、持続的な観察をこの製品でしていくことは難しい。

そこで、鍼灸院では顕微鏡を導入することで、
「精子」を観察し、病院受診の必要性の有無や、持続的な観察で経過を追って鍼治療の変化も追跡することにしました。