突発性難聴の鍼灸×スーパーライザー

田中はり灸療院で大切にしている3つ「医療の視点」「内耳循環」「丁寧にわかりやすく」

はじめまして、田中はり灸療院の遠藤彰宏です。田中はり灸療院では、鍼灸治療をする前に現在発症された突発性難聴が「なぜ発症したのか」「現在どういう状態にあるのか」を知っていただく必要があると考えています。

突発性難聴は、「突然発症+原因不明」という「そもそも原因を特定できないもの」であり、また耳という器官があまりにも「小さい器官」という2点によって、突発性難聴という病気はまだまだ解かっていないことがたくさんあります。

わかっていないことが多いからこそ私たちは「医療の視点」を大切にして行動をするようにしています。

突発性難聴の治療については、聴力が回復可能である場合には、できる限り早期に治療を開始する必要があります。

このWEB内でもできる限りわかりやすい表現に努めていますが、不明な点があればお一人で悩まずに当院へお尋ねください。

■耳鳴りについてお困りの方はこちらへ

突発性難聴の原因

突発性難聴は,原因不明の急性高度難聴です。その病因・病態は確定しておらず、エビデンスのある治療法も確立していないのが現状です。

2012年に新しいガイドラインに改訂案が提出され
『1.突然発症 2.高度感音難聴 3.原因不明の3つが全てあてはまるものが突発性難聴』と診断されます。(厚生労働省特定疾患急性高度難聴調査研究班 2012年)

 

急性感音難聴と突発性難聴各種疾患と突発性難聴の関係

急性感音性難聴の中で、特徴的な要因があれば診断がつくものもあれば、一時的に突発性難聴という診断名がつき経過観察中に聴力の回復と低下を繰り返すことで、突発性難聴とは異なる病態(病気)だと診断名が変わることがある。

急性感音性難聴と突発性難聴

病態の解明が進めば,原因不明の突発性難聴の占める割合は小さくなるが,現在までのところ突発性難聴は急性感音難聴の中心的存在となっている。
(『突発性難聴の歴史』中島務,耳展45:2;98~104, 2002より作図)

今後は、耳鼻科領域の研究が進むことで、原因が遺伝子レベルなど特定されれば病名を新たに冠し、分類がなされ、突発性難聴という原因不明な病態は縮小していくことが予想される。

 

突発性難聴の疫学

難聴の年間発症者数推移1981年16,750人から増加し、2010年では82,000人が発症

突発性難聴の疫学調査では、1993年に人口10万人対19.2人、2001年のでは、2001年27.5人、2012年には60.9人との報告があり、突発性難聴は増加傾向にあると推測されています。福岡市の人口が150万人とすると、年間約913人が発症している。また、発症の平均年齢もだんだん高齢化し、現在では50歳を超えています。ストレスの関与が強く示唆され、今後も増加すると予想されており、誰がいつかかってもおかしくない国民的な病気であるともいえます。突発性難聴を主訴に当院へ来院する方も年々増加傾向にあります。

突発性難聴の診断基準(案)

主症状
1.突然発症
2.高度感音難聴
3.原因不明

参考事項
1.難聴(参考:隣り合う3周波数で各30dB以上の難聴が72時間以内に生じた)
(1)文字どおり即時的な難聴、または朝、目が覚めて気がつくような難聴が多いが、数日かけて悪化する例もある。
(2)難聴の改善・悪化の繰り返しはしない。
(3)一側性の場合が多いが、両側性に同時罹患する例もある。

2.耳鳴り
難聴の発症と前後して耳鳴りを生じることがある。

3.めまい、および吐気・嘔吐
難聴の発症と前後してめまい、および吐気・嘔吐を伴うことがあるが、めまい発作を繰り返すことはない。

4.第8脳神経以外に顕著な神経症状を伴うことはない
診断基準:主症状を全事項みたすもの
(厚生労働省特定疾患急性高度難聴調査研究班,2012年度改訂)

突発性難聴の重症度

聴力と難聴のレベル30ー40デシベルが軽度難聴、40-70デシベルを中等度難聴、70デシベルを高度難聴

突発性難聴の評価で1950年以降に耳鼻科臨床において広く使用されているのが、オージオメーターによる聴力検査です。
すでにこの検査は耳鼻科を受信した際に、受けたと思います。防音室で、片耳に「プー」「ピー」などを異なる音の高さ、音の大きさでどれだけ聴力が保たれているか検査を行います。
この検査は、通常良い方の耳(健側)を基準にして、今回の病気によってどれだけ聴力が下がったかを知る検査です。
その際に、記入された表はオージオグラムといい、縦軸は音の大きさ(db:デシベル)を表し、横軸は音の高さ(Hz:ヘルツ)を表しています。
それぞれの難聴の度合いにより軽度難聴、中等度難聴、高度難聴と重症度分類がされています。

難聴レベルの目安

軽 度:21-40dB ささやき声が耳元でないと聞こえない
中等度:41-70dB 会話中に聞き落としがあるが対面して会話は可能.70dBでは大声でなければ通じない
高 度:71-90dB  聞き落としが多く.会話はほとんど不可能.耳元に口を近づけて話しかける必要がある.
聾 :90dB<    言語音、一般環境音ともに聴取不能

突発性難聴の治療

原因不明のため、治療にはいろいろな方法が試みられていますが、厚生労働省研究班も有効な薬剤の特定には至っていません。通常は内耳の安静と、薬物療法としてステロイド、血管拡張剤、代謝改善剤、ビタミン剤が一般的に投与されます。
また施設によっては、星状神経節ブロックや高気圧酸素療法が行われることもあります。これらの治療は、できるだけ発症早期が望まれます。
1993年の全国調査では、発症から2週間以内に治療が開始できた症例で、治癒率が43%、著明回復が20%、回復が18%、不変が18%でした。治らない症例を詳細に検討した結果では、その因子として
<1>発症後2週間以上たってからの治療
<2>発症時平均聴力レベルが90dB以上の高度難聴
<3>回転性めまいを伴う症例
<4>高齢者
<5>糖尿病の合併-などが挙げられています。
本疾患は発症後1,2ヶ月で聴力が固定し、それ以降の聴力変化はないといわれています。

しかし、当院での治療で回復してくる症例も多く経験しています。できるだけ早期の治療を開始をお薦めいたします。
一方で、経過途中で悪化するようでしたら、メニエル氏病や、外リンパ瘻、聴神経腫瘍などの別の原因も考慮する必要があるため、経過観察が必要です。

正常な耳の構造について

正常な耳の構造について

「耳の構造」

音は外耳、中耳、内耳通じて大脳へ

耳は、大きく分けると「外耳」「中耳」「内耳」という3つに分かれています。
音は耳介によって集められ、外耳道を通って、鼓膜へと伝わります。
「耳介~鼓膜までを外耳」と呼びます。
次に「中耳」です。
「中耳」は、「つち骨、きぬた骨、あぶみ骨」という3種類の骨と、3つの骨が収まっている「鼓室(中耳腔)」、のどと鼓室をつないでいる「耳管」を「中耳」と呼びます。

外耳と中耳の音が伝わる経路を伝音系と呼ぶ

外耳で集めた音の振動は、中耳で増幅され、蝸牛に伝わった時には元の音の約20倍の大きさになっています。

「内耳について」

内耳は、超小型の精密機械

内耳は、聞こえを感知する蝸牛と平衡感覚を担う前庭(卵形嚢・球形嚢・三半規管)からなります。
ぐるぐる巻きになった蝸牛は、伸ばしても長さ約32mmという非常に小さな精密な構造器官です。

 

「蝸牛について」

この筒状の蝸牛を輪切りにすると、中は3層の構造。
一番上から「前庭階」「蝸牛管(中央階)」「鼓室階」と名前がつけられています。
蝸牛管の中には、音を感知する装置がコルチ器があります。

コルチ器

コルチ器には、毛の生えた細胞、有毛細胞が規則正しく並んでいる。有毛細胞には、内と外がそれぞれあり、内有毛細胞は1列約3500個、外有毛細胞は3列約12000個が中央階の床(基底板)に並んでいる。

「蝸牛と音の高さ」

150919-0011

蝸牛内では、それぞれ音の高さを認識、反応する部位が異なります。

外耳に近い部位では高い音
蝸牛頂(中心部)に近い部位では低い音

「聴神経」

150919-0014

有毛細胞と連絡している神経は、ラセン神経節細胞といい、ラセン神経節細胞の神経線維が束になって聴神経を形成している。

内有毛細胞は多くのラセン神経節と連絡しているが、ラセン神経節1つ1つは1個の有毛細胞としか連絡していない。内有毛細胞が死滅するとラセン神経節も死んでしまう。

ラセン神経節細胞は生後間もなくからどんどん減少し、10代では3万個以上あるが、90代では1万個にまで減少するとされている。

蝸牛内のリンパ液について

「前庭階」「鼓室階」は、『外リンパ液』に満たされている。
外リンパ液は、脳脊髄液と交流をしているリンパ液。

「中央階」は、『内リンパ液』で満たされている。内リンパ液は、耳独自のリンパ液で体内で最もカリウムイオンの濃度が高くかつカルシウムイオン濃度が低い液となっている。血管条から分泌し、内リンパ嚢から吸収されて新しく入れ替わっている。この内リンパが聞こえを感じる重要な働きをしている。

当院での鍼灸治療とスーパーライザーの併用療法

image78鍼灸治療も上記の薬物治療同様に確かなエビデンスが存在しません。

しかし、早期に鍼灸治療とスーパーライザー照射を行うことで、回復する例や、発症後2か月、3か月経過して症状が固定されたと思われる症例に対しても効果が認められることを経験します。

当院で治療可能なものは主に以下の3つの病態

1)突発性難聴(聴力低下のみ)
2)突発性難聴+耳鳴り、耳閉感
3)耳鳴り(聴力低下を伴わない)

①耳周辺に鍼治療を行いながら、スーパーライザーで内耳周辺の循環を良くする
(『部分最適:難聴や耳鳴りの原因として考えられる蝸牛周辺の局所循環の改善を狙う治療』)

②鍼灸治療と、スーパーライザー(近赤外線)を使用することによって、交感神経(自律神経)を抑制して、回復を促す
(『全体最適:全身性に治療を意識することで、治りやすいお身体の状態にする』)

急性期の治療   ①>② ①の蝸牛(内耳周辺)を特に意識して治療を行います
慢性期の耳鳴り  ①<② ②の自律神経系や耳鳴りの不快感や苦痛に対して全身的なアプローチを優先的に行い、①の蝸牛(内耳周辺)への循環を良くする治療を追加

治療計画:5回の治療(2週間で3回の治療頻度/3,4日に一度)で聴力になんらかの回復傾向がある場合に、当院での治療の適応と判断し、聴力固定まで継続して治療を行います。(2か月~半年、1年)

治療の目的及び方法

1)全身の状態を良くする
全身状態を良くすることは、内耳だけでなく、自然治癒力への働きかけや、聴覚の閾値に対して働きかける(過敏性を取る)ことで、聴力の回復だけではなく、耳鳴りの改善にも期待ができます。

2)耳周辺を含む頚肩部への治療
突発性難聴に対しては、耳周辺部はもちろん頚肩部にも大事なツボが並びます。
聴力回復に有効なツボ、耳鳴りに有効なツボ、またその他反応を示しているなどを選択し治療を行います。

使用する鍼について

鍼治療で使用する「はり」は、先が注射針よりずっと細く、皮膚に滑り込むように刺さっていくため、刺激が少なく痛みを感じにくい特徴を持っています。

また、鍼を刺す際に、「鍼管(しんかん)」と呼ばれる、筒状の器具を使うことで、刺す時の痛みを抑えられます。

この鍼管を、指先で軽く叩けば、鍼先が瞬く間に身体に進入します。

これが日本が誇る「管鍼法(かんしんほう)」と呼ばれる江戸時代から続く特徴的な鍼の方法です。この方法で、鍼をすることで、いつ刺されたか、気がつかない刺入を実現します。

150919-0017

 

鍼の太さについて

鍼治療が痛くないもう一つの理由として、鍼の太さがあります。

蚊が刺す感覚を痛いと感じる方は少ないように、当院で使用している鍼も非常に細く蚊の口先とほとんど変わらない鍼を用いています。

150919-0016

よりやさしく、より再現性のある治療へ

SUPER LIZERの併療

当院ではSUPER LIZER(東京医研社)の近赤外線(直線偏光近赤外線療法)を鍼灸治療に合わせて併療しております。

SUPER LIZERは多くの大学病院で、多くの疾患・症状治療に使われています。

①近赤外線は身体の中に一番深くまで届く光です。
②直線偏光処理した光は傷を早く治す力があると言われております。

この二つの特徴を鍼灸治療と組み合わせることで、より効果が発揮されます。

深達性

体内の水に反応しない特殊な光を放出することで、深部の神経節に照射(SGR:星状神経節近傍照射)を行うことで、星状神経節ブロック(SGB)と同様の反応を引き出すことが可能です。

スーパーライザーは他のヘリウムネオンレーザーや、赤外線治療器より生体深達性が高い波長帯を選択

スーパーライザーを星状神経節や、肩部、肘関節へ照射写真

①過剰ストレスによる緊張をときほぐします

スーパーライザー星状神経節照射(SGLまたはSGR)によって副交感神経の働きが高まり、リラックス効果が得られます。
これで、ストレスや不規則な生活によって出ていた自律神経失調による症状が改善します。過剰ストレスによる交感神経緊張は、徐々に時に急激に身体に影響を及ぼします。
ストレスに気づいてはいても、対処法が見つからないという方が多いのではないでしょうか?ストレスは生活習慣病のリスクとして極めて重大なものです。生活習慣病を発症しないためにも予防が大切です。

②全身で血流が良くなります

血行を良くする副交感神経に直接アプローチするため、照射が終了して15分後でも血行が良い状態が続きます。
血行が悪い所には栄養や酸素が届きづらく、創傷治癒が遅れ、免疫力の低下、老廃物の代謝も阻害され老化が進みます。
スーパーライザーで手足だけではなく、胃腸などの内臓や脳を含めた全身の血行を良くしておくことは、今ある症状を取り除くことだけでなく、将来の病気の芽を摘むという予防医学効果もあります。
この反応を顔面神経麻痺に応用しております。

星状神経節照射後の手と顔の温度変化
スーパーライザーの照射によって15分後の体温が上昇している様子

 

『内耳循環をいかによくするか』
『自律神経・全身調整で回復力を引き出せるか』


よくあるご質問

Q.「他の鍼灸院と比較すると何が田中はり灸療院の治療では異なるのですか?」

A.
1)耳の内耳の循環は鍼灸単独で改善することは困難
「これは本当によく聞かれる質問です。まず、『腰痛』や『神経痛』想像してください。鍼灸治療がもっている性質として、痛めている筋肉や神経を治療対象とした場合には、筋肉や神経のかなり近いところを対象に鍼刺激を行うことが可能であり上記の説明にある部分最適を鍼灸治療で行うことは可能です。この『腰痛』や『神経痛』でも局所以外に関連のあるツボ(経穴)を使用し、痛みを和らげる(鎮痛効果)を意識したり、身体全体の体調を上げる(全体最適:人がもつ恒常性を高める)治療を行います。

ここで問題となるのは、現在耳に症状をもっている患者さんの内耳に対して、鍼治療で内耳への治療は可能かどうかです(部分最適)。
鍼治療では深部にある内耳に影響を持たせることは難しく、そのため当院の一番の強みとしては、スーパーライザーを使用することにより鍼灸治療単独では難しい内耳周辺の循環を改善するという点が大きな特徴だと考えます。

2)鍼灸の治療方法に、『中医学』『経絡治療』『トリガーポイント治療』などがありますが、
中医学や経絡治療では、『腎』や『肝』と『耳』を結びつけて考えたりするようですが、鍼灸院から転院してくる患者さんの話を聞いても充分な結果、説明すら得られていないのが実情です。
当院では、現代医学的な視点からしっかり説明ができるという点。これは、現在耳鼻科で通院中の患者さんにも非常に喜ばれています。耳鼻科の先生が忙しすぎて、自分がいったいどういう状態なのか聞くに聞けないという患者さんは非常に多いです。

3)スーパーライザーの台数
「当院での治療は、難聴の方には治療時間中にスーパーライザーを照射をし続けます。(PX:30分照射、HA2200 40分照射)各患者様に安定した治療を行うためにベッド各1台につきスーパーライザーを備えているために、ベストな治療が可能です。」

もし、鍼灸院に1台しかスーパーライザーがなかったら、下記のような懸念が生じてしまいます。
「星状神経節照射だけしか行わない」(治療の制約)
「スーパーライザーが1台しかないため、予約が取れない」(治療機器の制約)
「忙しい時には10分しか照射しない」(治療時間と、治療機器の制約)
「スーパーライザーを常に移動させるため、術者がいつもバタバタしている」

3.オージオメーターを所有(500Hz-4000Hz)

image171
当院ではオージオメーターを所有しているため、現在の聴力をある程度把握することが可能です。
この点も客観的に患者さんの状態を把握するという当院の治療に対する姿勢の一つです。

※病院を受診中の方は、可能であればオージオの記録をお持ちください。(防音室で測定、また音域、dBと病院での測定記録がより正確です。ただし、オージオは検査の特性上、上下5dBまたは場合によっては10dBと誤差が出る検査でもあるため平均値という感覚で経過をみる必要があります)

治療2)聴力固定はいつまで?2か月は本当? 発症3か月後から治療開始

発症H.28.4.9    突然発症

近医耳鼻科を受診し、治療開始「突発性難聴」という診断。
1か月間 通院にてステロイドの点滴治療を受け、自宅でもステロイドの服用。

28.5.6   オージオデータ (初診時と変化なし)
耳鼻科聴力検査にて、両耳とも30-60デシベル範囲で聴力低下が起こり、左の500-1000ヘルツ、4000-8000ヘルツで60デシベルまで聴力低下28.5.12  聴力変化がないため、大学病院を紹介されステロイドを増量で9日間入院
28.5.21  初診時より通院している病院へ戻り治療継続
メチコバール、アデホスを服用
28.7.5   当院にて治療開始
「発症より3か月経過しているため、初回より5回ないし、10回の治療を行い変化があれば治療を継続していきます。」と了承を得て治療を開始。
治療頻度:1週間に2回  治療時間:50分(右耳も若干低下しているため、両側治療)
治療方法:スーパーライザー+鍼治療

28.8.8  オージオデータ(1000-8000Hz)で聴力の回復傾向を確認のため治療継続右の聴力は改善が早く30デシベルに聴力が並び、左は前回よりも高音部での聴力の回復を認める
28.11.01 その後も月に1度聴力測定を行い11月
(発症から7か月、治療開始約4か月目)
日常の会話がふつうになり、また発症以前は、自宅のテレビでボリュームを25で観ていたが、20で聞こえるようになり、「発症前より聞こえがいいです。今では主人の方が聞こえないぐらい」と喜ばれました。
左右ともに同程度に回復し、25デシベルまで張力が回復 その後1か月治療を継続し、聴力の回復がそれ以上は認められなかったため、卒業となりました。

考察:聴力固定は通常2か月と耳にすると思います。その一つの理由には、現代医学の治療で発症初期の治療は投薬治療で行うことが大切と考え、初期の炎症を抑える努力をしますが、中長期の治療方法がないため、2か月間で聴力固定を迎えてしまいます。一方で、この方のように、反応が認められる方で尚且つ継続治療をした方の中に、聴力が上がり続ける方がいます。
聴力が中長期的に回復が認められる理由として、聴力が上がったという結果から判断するしかないものの、『内耳が瀕死の状態にあり、このままでは聴力が固定してしまうが、内耳周辺に血流を流すことで、回復できる症例が存在する』こういう仮説を立てて、治療を行っております。
私たちの願いは、『回復する可能性のある方にはしっかりと、聴力を上げることができるところまで上げる。』このように考えております。

 

 

 

当院での治療例

「突発性難聴もしくはメニエル疑い」 40代女性

発症1日目

左耳の低音部(125,250,500ヘルツ)で60デシベルまで低下

 

発症7日目

発症1週間で、25デシベルまで聴力回復

 

発症14日目

20デシベルまで聴力回復
この患者さんは、医師(内科医)のため、突発性難聴がいかに時間との勝負か、症状(聴力)が固定してしまうと大変かをご自身が理解しているため、発症時から日曜日以外連日通院されました。

発症初期から、病院での治療+鍼灸院で治療を行うことが重要だと考えております。

「突発性難聴症例(メニエル病疑い)」 30代 女性

発症前に、少し耳がこもる感じがあった。その後も数回(2-3回)同様の症状を自覚。
発症直前に、飛行機に乗ったことがきっかけかその後に聴こえにくさを自覚し、近医耳鼻科
にて診察の結果「突発性難聴」と診断、ステロイドを通院にて内服治療。
その後九大病院にて治療及び経過観察。

発症時、高音部(4000-8000ヘルツ)で聴力低下、服薬治療にて4000ヘルツは回復
発症2ヶ月+10日(鍼灸治療開始直前)

高音部が再び悪化し、4000ヘルツは35デシベル、8000ヘルツは55デシベルに悪化

 

高音域の聴力低下に伴い
・耳鳴「サーっ」という雑音
・子供の声がこだまするという『「突発性難聴」か「初発のメニエル病」かはこの時点では判断が付かず経過観察をしましょう』
『もし次悪化が確認できた際には、MRIを撮ります』(主治医のDr.説明)周りで突発性難聴を経験した知人は経過が良かったため自分も治ると思っていた。
しかし、今回悪化したため鍼灸治療を希望。

当院にて治療開始(5~7日に1回治療)

4000ヘルツ、8000ヘルツともに回復傾向

鍼灸治療開始5-7日に一度治療鍼灸治療開始2回の治療で耳鳴り激減。

子供の声でも不快感なくなる。鍼灸治療開始4回 前回より聴力の改善傾向が125,1000,4000Hzで確認。

帰省期間に他院を紹介⇒福岡に戻り治療再開

150919-0025

帰省期間に他院を紹介し、治療継続福岡に戻り治療再開当院での治療6回(治療期間約50日)

8000Hz以外の音域で聴力の上昇が認められる。現在は、身体のケアを目的に治療間隔をあけて継続治療中。

「突発性難聴」   18歳女性

12179700_855074501274244_638387688_n

18歳女性
7日前に突発性難聴発症。発症当時左耳に違和感を感じ、水が耳に入っているような感覚。耳鳴り(-)、耳閉感(+)発症時が金曜日だったこともあり、土、日、祝日と病院へ行けず、週明けに耳鼻科受診。診察の結果「突発性難聴。この周波数だと、40代、50代の男性の声が聞き取りにくいね。」という説明を受ける。ステロイドの服薬治療を開始。

当院受診(発症1週間)
「現在耳鼻科で治療しているが、併せて鍼灸治療も行いたい。スーパーライザーもよさそうなので、受けてさせてあげたい。」というご相談をお母様よりいただき、説明の上ご本人来院。

当院での治療は、鍼は浅く刺されているかもわからない程度で治療を行い、スーパーライザーの照射していくため、非常に心地よいことに驚かれました。
治療を毎日5日間連続で行い、耳の耳閉感は初日で消失。プールで水が入ったような感覚も、日ごとに楽になっているという自覚的な感覚を表現されました。

発症10日目病院での聴力検査

12179494_855074514607576_1993900021_n

10日頃には、聴力はほぼ回復しているが、ステロイドの影響か、より眠りくいという症状や、以前からの腰痛の治療も含め、この期間も続けて治療を継続。

この頃には、人ごみや集団で音が聞き分けることができるようになってくる。

治療のコメント:
聴力低下する方の3割は耳鼻科医の先生の治療で回復されるという報告があるため、発症1週間と早期に治療を開始したため、当院での聴力低下に対する鍼灸治療の効果判定は非常に難しい。
しかし、耳閉感については、治療当日から消失し翌日の来院時まで自覚なし。その後の継続治療で自覚が出ていないことから、耳閉感にはかなり顕著に効果を示した印象を持つ。

今回の症例のように、来院が早ければ早い程回復する症例は多いため、可能な限り早期の来院を治療者としてお願いし、一人でも多くの完全回復に貢献したいと考えております。

「突発性難聴→外リンパ瘻またはメニエル疑 29歳男性」

主訴 急性の難聴 両側(左>右)
発症 20日前
思い当たる誘因 筋力トレーニングで懸垂を久しぶりに行い、その後音が聞き取りにくいことを自覚。
近医耳鼻科を受診し、「突発性難聴」という診断のもとステロイドの服用を開始。
(発症時のオージオデータはこの後転院するためなし)

発症8日目 それまで順調に聴力回復しているように感じていたが、悪化。転院をする。
発症時と同程度の聴力低下(ご本人談)
通常突発性難聴では回復してきた際に、再発、悪化がないことが特徴なため、ここで突発性難聴の診断(実際には推察)から外リンパ瘻とメニエルの疑いが強くなる。

発症13日目

発症15日目

発症20日目 再び悪化したため、服薬治療以外に併用してできる治療はないかと当院での鍼灸治療&スーパーライザーでの治療を希望。

当院での治療は、左側の重症度が強い側はもちろんのこと、右側も悪化傾向があるため右側にも治療を行い、5日間に1回のペースで治療を開始。

発症22日目(鍼治療2日目)
発症28日目(鍼治療8日目)
発症35日目(鍼治療15日目)
聴力に左右差がなく、正常会話領域に左右ともに回復したため、「いったんこれで様子をみれるまでに回復しました。症状の悪化を自覚すればすぐに治療を開始しますが、ここから治療間隔をあけていきます。10日後に予約

 

発症45日(鍼治療25日目)
症状は安定しており、発症前と変わらない状態。来週病院での聴力検査をするため、その結果をもって卒業も考えましょう。

発症55日(鍼治療35日目)
電話にて、聴力が安定しているので、このまま様子をみたい旨をご連絡いただき無事に卒業。

コメント)
突発性難聴か、それ以外の病気、病態か。
これは実は非常に鑑別は難しいところがあります。
外傷の有無や、難聴以外の症状があるのか、ないのかを総合して判断をする必要があります。
緊急を要する疑いがある場合には「MRI,CT」を撮影し、脳や内耳周辺に異常がないかを病院で行われますが、疑わしくない場合にはまず「突発性難聴」という推定をしながら治療を開始していきます。ですので、「突発性難聴」と診断された方の中には、このまま回復していき「やっぱり突発性難聴だった」と言える方もいれば、今回の方のように「外リンパ瘻」「メニエル」のように診断名が変わる方もいます。この場合にも「外リンパ瘻」は誘因と考えられる懸垂と、「突発性難聴」の治り方とは違い悪化があったことを理由に診断名がついていますので、確定診断ではありません。
「突発性難聴」はこのように経過をみなければなんとも言えない症状があることを理解の上病院の先生とお付き合いいただければいいなと感じます。悪化という症状は決して誤診と呼ぶべきものではなく、悪化という情報をもとに次の治療を考える有益な情報です。医療の現場では“後医は名医”ということばがありますが、後出しじゃんけんのようなものです。後半になればなるほど、症状の変化、薬の効き具合などの情報も加わります。この先生に任せることができるという先生であれば続けて受診をしてみてください。

非常に長い内容で記載をさせていただきましたが、私たちが日常で経験している耳鼻科疾患、突発性難聴、メニエル、外リンパ漏や、顔面神経麻痺など記載できたのは、ほんの一部です。

私たち二人は、皆様のように突然聴力が低下したような症状ではありませんが、聴覚が完全ではありません。耳が正常ではないという現状をしっかり鍼灸治療を通じて、治療・ケアをさせていただきたいと思います。
当院での治療が皆様の一助になれるように、真摯に臨床に取り組んでまいります。
田中はり灸療院 遠藤彰宏 遠藤真紀子 西村奈央