体外受精移植時の着床
妊娠維持のための鍼灸治療

 

妊娠を希望する方の来院が年々増えています。
当院では高度生殖医療ですでに体外受精を行っている、もしくは体外受精を検討中という方の来院が多いのが現状です。

これまで不妊治療という一括りでWEBページを作成していましたが、現在、すでに採卵を行い受精卵の移植を控えている方への鍼灸治療として、何ができるか、新たにページを作成中です。公開しながら、その都度、編集を加えて行きます。

この内容はすでに当院でも行っている治療ですので、ご質問やご相談はお気軽にお問い合わせください。

 

当院の妊活鍼灸治療の特徴と目的
着床妊娠維持の為の鍼
免疫システムと受精卵
鍼でどんな変化を起こせているのか
スーパーライザーの目的
来院頻度
来院時の持ち物・服装

 

〜詳細編〜

鍼灸治療とスーパーライザーを併用する意味・来院頻度の根拠
妊娠成立の仕組み〜免疫システム・免疫寛容〜

 

~Q&A~

 

当院の妊活鍼灸の特徴と目的

当院の妊活においての大きな特徴は、東洋医学に限らず、西洋医学に基づいて治療を行っていること。

鍼とスーパーライザーを併用するのが大きな特徴です。

体外受精という人体科学の領域に、同じ視点で寄り添う鍼灸治療を目指しています。

当院の妊活鍼灸には大きく分けて2つの目的があります。

 

1着床、妊娠維持

移殖に向けた治療で、着床に適した子宮環境を目指します。

生理1日目から移植までの2週間強の治療期間を要します。治療回数の理想は、移植前までに3回〜です。

移殖段階の方の研究データを根拠にしています。

2質の良い卵を育てる

今後の採卵に向けた治療で卵の質の向上を目指します。

 

ここでは 1着床、妊娠維持 の妊活鍼灸の話をしていきます。

前提として、1も2も不妊一般検査の結果によって治療方針を決めている方であれば、基本的にどの治療段階(タイミング、人工授精、高度生殖医療)であっても併用をご提案させて頂きますのでご相談ください。

Getty | Liudmila Fadzeyeva

 

着床妊娠維持の為の鍼

妊娠全体を見た時、流産という現象が起こることがあります。妊娠全体の15%と言われていますが、流産率は加齢とともに増加することが分かっています。

流産の原因は、受精卵(胎児)の染色体異常による自然淘汰が80%と言われています。異常の程度にもよりますが、これらの染色体異常を持つ受精卵の多くは受精後から着床前後の段階で発生を停止するため、どんなに気をつけていても防ぐことは出来ません。

残りの20%は、胎児ではなく母体側に何か原因があるのではないか、と考えられます。考えられるものとして、甲状腺の機能低下や抗リン脂質抗体症候群、子宮環境など様々ありますが、人体の免疫システムによって受精卵が攻撃を受け、妊娠の継続に繋がらないというケースも挙げられています。

鍼灸治療によって妊娠の成績が上がるというデータが出ています。

おそらく鍼灸による妊娠率の上昇は、この免疫システムに影響を及ぼすことが出来ている為だと考えられています。

 

免疫システムと受精卵

私たちの身体には自分を守るために様々な機能が備わっており、日々戦ってくれるお陰で健康に過ごせています。

身体の中で戦ってくれる細胞は白血球と言います。白血球の役割は、血液成分の一つで、主に傷口や粘膜といった外から侵入した細菌等の外敵(異物)から身体を守る働きを担っています。細胞等の外敵が身体の中に侵入すると白血球の数が増え、異物を攻撃するため細胞内に取り込み無害化します。傷口やニキビにたまる膿は外敵と戦った後に残された白血球の死骸なのです。

このシステムを考えた時に妊娠の着床時にも同じ様なことが起きます。
受精卵は、父親由来の細胞と母親由来の細胞でできているため、体内からすると完全な自分自身の細胞ではない=外敵とみなし、受精卵は本来なら攻撃対象になります。

しかし、妊娠に限っては免疫学的寛容という現象が起こり、母体は胎児の存在を受け入れるのです。

 

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鍼でどんな変化を起こせているのか

鍼による免疫系への変化についてです。

鍼や灸の刺激は皮膚に存在している受容器を窓口として刺激が身体の中に入り、神経伝達に変換されることにより、中枢神経を介して、免疫系に刺激が伝達されます。

この鍼灸による刺激で、免疫応答の調節に関与するインターロイキンの産生誘導や、異物が体内に侵入してきた時に攻撃してねと指令を出すインターフェロンガンマの産生が起こることが示されています。ウイルス感染の早期に働くNK細胞は、鍼の刺激後、NK細胞活性が増強するということが分かっています。

このように鍼灸治療でをすることで免疫系に変化を起こせていると言えます。

 

また、鍼で免疫システムのバランスを整える事で、妊娠時に通常起こる免疫寛容のシステムも正しく働くのだと考えています。

鍼灸治療の特徴として、あえて身体に微小な傷をつけて、身体が治ろうとする作用を利用して治療していきます。

この時の身体の変化として、傷に対し「侵入者(異物)がいるかもしれない」と免疫システムが活発に働き、白血球数が集まり他の所にも侵入者がいないかと警戒し、身体全体の白血球数が増えます。この傷自体は三日間で治り、傷が治っていくと白血球数は減っていきます。

白血球は数が下がりすぎても感染症になりやくすく、上がりすぎても卵が攻撃対象となってしまい、妊娠にとってよろしくない環境です。

コンスタントに鍼灸治療をしていくことで、白血球が増えたり減ったりという波をつくることが出来て、身体にとってちょうどいい免疫をキープ出来ると考えています。

 

 

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スーパーライザーの目的

スーパーライザーから出る近赤外線は交感神経に当てると不要な興奮を抑制し、副交感神経を優位にします。

その事で起こる現象2つを妊活に取り入れています。

私たちの身体には、大きく分けて体性神経と自律神経が身体のすみずみまで張り巡らされています。

体性神経とは、体表で受け取った熱い、痛いなどの知覚を脳に伝えたり、腕の曲げ伸ばしをしたりと体を動かすことや会話する、食べる、走るといった口や手足などの身体の各部分を自分の意思で動かす働きをしています。

自律神経は、身体の内側の環境を自動で整える神経です。自分の意思とは関係なく独立しているため、体表や身体の内部(内臓、血管等)の刺激に反応して身体の機能を調節する働きをしています。意識しなくても心臓を動かしたり呼吸をしていたり、食べたものを消化するため胃を動かしたりするのは、自律神経が働いているです。

自律神経の中でもアクセル役の交感神経、ブレーキ役の副交感神経と分かれています。

1 健康的な免疫寛容

スーパーライザー星状神経節照射(SGLまたはSGR)によって副交感神経の働きが高まり、過剰な交感神経の興奮を抑える事でリラックス状態をが得られます。交感神経が病的に過剰機能すると、必要な免疫細胞のリンパ節からの脱出が抑制されている場合は易感染、初動免疫の不全、炎症の蔓延化を引き起こす可能性があります。

スーパーライザー星状神経節照射により、末梢血における免疫細胞(NK細胞やT細胞等)の数と活性を有意に減少したことが分かっています。すなわち、スーパーライザー星状神経節照射により、免疫の変化が見られたということです。

また、健康的な免疫寛容を目指す上で過剰ストレスは関係しており、ストレスが溜まると自律神経が乱れ、ホルモンの分泌が低下します。身体のエネルギーを供給しているミトコンドリアは、ほとんどの細胞一つ一つに存在しており、エネルギー不足が起きると、卵子の減数分裂や受精、胚の発育が妨げられ着床しずらくなります。ミトコンドリアのエネルギー不足の原因はストレスの他、喫煙、食生活の乱れ、睡眠不足と言われています。

このような過剰ストレスによる交感神経緊張をスーパーライザーを使い、緊張をときほぐしていきます。

 

2 卵巣、子宮の血流量をあげる

交感神経の不要な興奮を抑える事で副交感神経支配である末端の毛細血管が開きます。毛細血管は手足を思い浮かべがちですが臓器にも毛細血管が張り巡らされています。もちろん、子宮や卵巣も臓器の一つですし、特に卵巣は毛細血管の塊のような構造をしています。

血行を良くする副交感神経にアプローチするため、照射が終了しても血行がいい状態が続き、効果の持続は約3〜7日間続くことが分かっています。

上記の「鍼でどんな変化を起こせているのか」で説明させていただきましたが、毛細血管が開く(血管直径を広げる)と子宮や卵巣にいく血流量は増え、子宮内膜を厚くしたり、胎盤を作りやすくすることが出来るのではないかと考えています。

全身はもちろん卵巣や子宮まわりの血流量を増やし、妊娠維持がしやすい子宮環境を目指しています。

 

来院頻度

「移植前の理想的な治療頻度」

事前から鍼灸治療を検討されている方(移殖2週間前)

直前に鍼灸治療を検討されている方(移殖前日、当日)

どのタイミングで鍼灸治療を認知されたかにもよりますが一度ご相談ください。

 

移植周期の説明 移植前3週間より3回治療

移植前の治療回数を合計約3回 (生理開始から移植までの2週間強の間)が理想の来院頻度です。

 

「移植前に1回」
「移植前に鍼をするといい」っていうことを胚移植直前に知った方も来院可能です。
お勧めは①ですが、最小限の直前の一回でも可能です。

 

移植前の治療は、何日目の受精卵(分割胚〜胚盤胞)を移殖するかによって、治療する日が変わってきます。そのため、移植日がある程度決まりましたら、ベストな治療日を一緒に話し合い決めていきます。気軽にご相談ください。

「移殖後」

受精して5〜7日目の受精卵が着床する時期に鍼治療をしていきます。鍼の微小な傷が3日で治ることを考慮し、移植前の鍼治療から3日前後の来院をお勧めしています。

その後は週に1回治療を目安に来院頂いています。

 

通常(移植前以外)

育卵治療の場合 週に1回治療を目安に来院頂いています。
一人一人の症状に応じて、肩こりや腰痛など、お身体のメンテナンスも一緒に治療していきます。

 

 

卒業

8週の方と12週の方がいらっしゃいます。ご年齢、過去の妊娠、流産歴を考慮し、卒業を目指してご提案させていただきます。

 

(編集中)

妊娠初期は胎盤が未完成な状態で不安定な時期です。

流産の多くは8〜9週になります。90%を占める。

妊娠黄体から胎盤へ黄体ホルモンを出すスイッチングが起こるのは7週頃から。

エストロゲン、プロゲステロン産生が妊娠黄体から胎盤へ徐々に移行し、12週〜15週で産生場所が胎盤になる。

 

黄体ホルモンは妊娠維持に必須ホルモン

妊娠マウスの卵巣を切除すると全て流産した実験は有名

よって妊娠維持のために妊娠黄体からホルモンが出続ける &胎盤が速やかに立ち上がりホルモンを出せる状態にする

このサポートをするために

子宮の血流をよくする 卵巣への血流をよくする

 

 

また、胎盤形成には免疫が正常に作動する必要がある

胎盤は免疫細胞が脱落膜内を誘導して血管形成して作る。

誘導がうまくいかないと過剰な大きさになったり小さな胎盤になったりする。

(エッセンシャル免疫学に乗ってるよ)

 

妊娠の維持には、母体の子宮脱落膜の免疫担当細胞がバランス良く胎児、胎盤抗原を認識することが必要であり、子宮内膜、脱落膜は胎児、胎盤抗原を認識して積極的な免疫反応によって生着現象が行われています。プロゲステロンは妊娠維持の内膜環境を考える上で、免疫学的維持機構と深く関わっています。プロゲステロンはその免疫抑制作用として移植臓器の生着を延長することが知られています。アロ抗原刺激によって免疫担当細胞のリンパ球の表面にプロゲステロン受容体が誘導されます、子宮脱落膜に特徴的に存在するガンマデルタT細胞やCD56陽性のNK細胞の表面にもプロゲステロン受容体が誘導されます。この現象は非妊娠時の末梢リンパ球には認められません。

プロゲステロンの作用をこのバランスに当てはめて内膜環境を考えてみると、胎児側の絨毛細胞が

 

 

 

着床すると、子宮内膜は着床、妊娠の維持に適した変化をしていきます。

 

 

来院時の持ち物、服装

持ち物:妊活治療の経過資料(血液検査等)があればお持ちください。

服装:治療時に脱いで頂く際に背中、腰、肩、膝上まで出せる格好が理想です。短パンの貸し出しもしております。

例)上:キャミソール 下:スカートor膝上まで上がるズボン

 

スーパーライザーを使用している病院

 

積極的に低出力レーザー治療(LLLT)の研究をされているのが英ウィメンズクリニック(兵庫県)の苔口先生がレーザーリプロダクション学会にて、研究報告を数多くされています。

当院における不妊症患者へのLLLTの取り組みについて~妊娠例を中心にして~(第7回レーザーリプロダクション学会)
当院における低周波レーザー療法の妊孕性向上への取り組み(第10回レーザーリプロダクション学会)

 

 

鍼灸治療とスーパーライザーの併用による着床率の変化

現在、妊活の治療に対して、鍼と低出力レーザー治療(Low Level Laser therapy: 以下LLLT)併用している病院も全国に何軒かあります。

 

過去に体外受精の移植で1回目に成功しなかった方を対象に

「生理1日目から移植までの2週間の間に4回来院」

A:鍼灸と低出力レーザー治療(LLLT)のどちらも4回ずつ治療に来られた方

B:鍼灸治療だけの方

C:低出力レーザー治療(LLLT)だけの方

治療方法や回数、様々なパターンでの着床率の変化のデータを算出。

 

その結果、鍼灸治療を行った場合、2週間内で2回までの治療だと着床率に変化がなく、3回以上治療された方は着床率が上がるということが分かりました。

低出力レーザーだけを当てた場合、着床率はあまり上がらなかったが、その後採卵した時に卵の質(胚盤胞到達率の向上)変化が見られました。

しかし、最近になり鍼灸治療と併せて、低出力レーザーを当てると着床率が上がるというデータも出ています。

 

この結果より、生理開始から移植までの間に、最低3回以上鍼灸治療すると着床率が上がり、スーパーライザーは着床率にも卵の質(胚盤胞到達率の向上)にも影響を与えるのではないかと結果の元、併用治療を行なっております。

 

~Q&A~

Q. 1回の治療の時間はどのくらいですか?

A. 初回は1時間半〜2時間を目安に予約をお取りください。2回目以降は約1時間をみて頂いております。

Q. 理想の治療ペースを教えてください。

A. その方の状況により1回/5日〜7日を提案しております。

Q. 鍼灸治療はいつから始めたいいですか?

A. すでに採卵が終わっており順次移植の方、卵子の質を改善していきたいなど、色々な状況の方がいらっしゃいます。タイミングや人工授精、高度生殖医療のどの段階でも早めのご来院をお待ちしております。

Q. 生理の時は来院を控えた方がいいですか?

A. コンスタントに御来院頂くよう治療ペースを御案内しておりますので、生理中でも沢山の方に通院して頂いております。

Q. 自分たちでタイミングをとっています。病院には行っていません。通院は可能ですか?

A. 通院は可能です。色々お話を伺い、状況・年齢など判断して病院への通院や検査をおすすめすることもございます。

Q. 病院と鍼灸治療は並行しても大丈夫でしょうか?

A. もちろんです。鍼灸だけの妊娠も、もちろんありますが前提の卵管検査など行って頂くなど、医療との連携は欠かせません。体外受精・顕微受精段階の方も沢山通って頂いております。

Q, 鍼灸師は女性ですか?

A. 女性の鍼灸師が対応します。男性の妊活でお悩みの方は男性鍼灸師が対応致します。

Q. 冷えと不妊症は関係ありますか?

A. 冷えているから不妊は本当か?というテーマはまだ誰も証明しておりません。人間は恒温動物なので深部体温は大きく変化しないはずと考えた時に、末梢の手足が冷えても一番大切な子宮や卵巣が果たして冷やされるとは考えにくいです。もし、外気温で手足の温度が下がるたびに子宮・卵巣がダメージを受けているなら、寒い地方など出産率は下がるということになります。太古の昔から今まで人間がこの状況で生き残ってきたのであれば、冷えは不快ですが不妊症と関係ないのではと考えております。

Q. 子宮内膜症、子宮筋腫などには、鍼灸は悪影響を及ぼさないですか?

A. ほとんど影響はありません。むしろ痛みやお腹の固さが改善する方が多くいらっしゃいます。ほとんど…とつけたのは今までの経験したことはないですが、治療として妊娠を目指す以上、E₂依存性の疾患は、まれに悪化する可能性があるからです。内膜症のみに絞って治療することも可能ですが妊娠が遠ざかっては意味がありませんので、悪化する可能性をわずかにはらみつつも妊娠を目指します。

Q. 三陰交は流産のツボと聞きました。治療で使いますか?

A. 過去の文献では、妊娠中みだりに使用しないとなっていますが、根拠は明確はありません。中国では300例に中絶目的で三陰交に治療したところ、1例も流産させることができず、結果として「妊娠に対し無寒」「禁鍼説は信頼できない」となっています。当院でも妊活中の方すべてにこのツボを使用していますが、妊娠前~初期使用しても流産率が上がるというデーターはありません。御安心下さい。

Q. 2人目希望で鍼灸治療を受けてみたいのですが、子供も連れてきてもいいですか?

A. お子様連れの方も来院頂いています。ベッドのスペースやスタッフの都合もありますので来院前にお問合せ下さい。

Q. 不育症も治療対象ですか?

A. 通院可能です。病院での検査や通院しながら、併用で鍼灸治療をすることをお勧めします。