運動するならミトコンウォーク?!

運動するならミトコンウォーク?!

妊活中の患者様で、運動や活動的になった方がいいですか?という問いを頂くことがありますが、答えはイエスです(過剰な運動は生殖機能を下げる可能性があるため控えましょう)

ただ、日々の仕事や生活で運動するのが難しい方、何をしていいのか分からない方もいらっしゃるとお思います。

そこで、最も簡単で効果の上がる運動はないものかと森本義治先生が考案された運動法「ミトコンウォーク」を紹介させていただきます。

ミトコンウォークとは

ミトコンウォークは、ミトコンドリアの特性から考えられています。

では、ミトコンドリアとは?

細胞内に存在する細胞内小器官の一つです。

ミトコンドリアの役割の一つに、ATPの産生があります。

ATPはあらゆる生命活動に使えるエネルギーの供給源。

酸素を使ってグルコースを水と二酸化炭素に分解してエネルギーを取り出しATPという物質が作られます。

産生する際に、副産物としてある程度の「活性酸素」が作り出されますが、いきなり身体を動かしたり、激しい運動を行ったりすると血流や呼吸の量が増え、より酸素を身体の中に取り込もうとするため、結果的に活性酸素が過剰に増えます。

活性酸素が体内で増えすぎるとDNA や脂質・タンパク質・酵素などを攻撃して酸化させ、結果的に体内のあちこちで損傷が起こり、体内の細胞の老化が進んでしまいます。

ミトコンウォークのやり方

ミトコンウォークのやり方をご紹介します。

ミトコンドリアの活性化を目的とした有酸素運動である。
①まずは運動前に深呼吸、ストレッチを5分行う
②次にウォークングを行うが、普段の歩くペースよりは速めで、腕をしっかりと振って、大股で早歩きする。
このとき心拍数が100〜120/分になるように歩くスピードを調整する。
このままのスピードで15分間ウォークングを続ける。

③その後は、急に止めないで必ずクールダウンしていただくことがポイントである。
10分間で呼吸を整えながらゆっくりと歩いて心拍数を徐々に下げていく。
ウィンドウショッピングで歩くくらいのゆっくりとした歩きかたが目安となる。

以上トータルで30分間のプログラムになる。

ウォーキングは誰でもできる運動のため、自己流になってしまうおそれがあります。注意して行いましょう。

【少し解説】
①運動前にミトコンドリアが動き始めるための準備として、深呼吸やストレッチを行います。
②やや強めのウォーキングで少し心拍数を上げ、活性酸素を少量の産生に抑えます。
※激しい運動ではないのがポイントです💡
③いきなり止まらずに、10分間かけてスローダウンしていくことで、活性酸素が出過ぎることを抑え、ミトコンドリアは活性化したまま、よい状態をキープすることができます。

ミトコンウォークの効果

実際に病院で実施された論文を見ていきましょう。

【背景・目的】 ミトコンウォークは、活性酸素発生量を調整することによりミトコンドリアを 最大限に活性化させ卵巣機能を高めるウォーキング法として、森本(2012)が考案したものである。患者の実施状況・効果について検討したので報告し、今後のより良い指導について考えていきたい。

【対象・方法】 胚移植を受けた患者延べ 3915 名を対象とした。

【結果】 ミトコンウォークの認知度は 53.9%だが、その中で実行している方は 40.1%にとどまっ た。ミトコンウォークについての自由記述のカテゴライズにおいては、実施している患者の 88.7%が良い効果を実感できていた。内訳は、血流改善 29.7%、総合的な健康の改善 31.5%、心身の爽快さ 22.4%、胚質改善 5.1%であり、心身ともに良い効果を実感して いることが確認できた。

【考察・課題】 QOL の可視化はミトコンウォークの効果を実感しやすく、患者のモチベーションを上昇させ、不妊治療の効果を上げることが期待できる。また、実施患者にはフォローアップを行い、長期間の継続を可能にするなど、患者のニーズに即したかかわりが重要と考える。

第 64 回 日本生殖医療学会学術講演会・総会 「生殖補助医療におけるウォーキング(ミトコンウォーク)の効果に関する検討」より

 

【目的】当院では、心身のケアとして「統合医療」を活用しており、その中でも簡便かつ安全性の高いウォーキングを推奨している。 ウォーキングの効果を明らかにするため、本検討を実施した。

【方法】175 名を検討対象とした。アンケートの項目は1)ミトコンウォークの認知度、2)ウォーキング指導受講歴、3)頻度、4)期間とした。着床に対するミトコンウォークの効果を、胚移植 12~14 日後の末梢血 HCG>25mIU/mLで着床ありと判断した。

【結果】ミトコンウォークを認知していたのは 165 名(94.3%)で、101 名(57.7%)はウ ォーキング指導を受けていた。ミトコンウォーク頻度中央値は「週 1~2 回」の 45 名(25.7%) で期間中央値は「1~3 カ月」の 29 名(16.6%)であった。年齢別では、40 歳未満では「週 1~2 回」、「1~3 カ月」が多く、40 歳以上になると「週 1~2 回」、「3~6 カ月」となった。 着床に関する交絡因子として、胚盤胞移植の有無、移植胚数、年齢、運動頻度、運動期間を 挙げ、ロジスティック回帰分析したところ、頻度のオッズ比=1.04(95%CI:0.60-1.82、p =0.880)、期間のオッズ比=1.26(95%CI:0. 73-2.19、p=0.403)と有意な効果を認めな かった。

【考察】当院通院中患者におおけるミトコンウォークの認知度は高く、特に40 歳以上の高齢群において、より長い運動期間が確認された。今回の検討では、着床に関する有効性を示すことができなかったが、長期化する不妊治療期間の心身を整え、不妊治療継続のモチベーションとなっている可能性が考えられた。今後、心理的側面の評価を交え、再度検討を行う予定である。

第 18 回抗加齢学会総会 「統合医療とミトコンウォークについて」より

また、卵子老化に関する因子として様々なことが挙げられますが、ストレス、特に心的ストレスは大きく起因すると考えられています。

ストレスを受けると活性酸素を増加させます。

実際、ストレスを多く受ける女性の卵巣予備能が低いことが知られています。

上記のような、ミトコンウォークで精神的効果があるのであれば、ミトコンドリアの活性は勿論、卵子の質にも寄与できているのかもしれません。

最後に

生きていく中で活性酸素は作られています。

ここでは、増やさないようにといったような話が多く出ましたが、細胞伝達物質や免疫機能としての働きや排卵時には一定量の活性酸素が必要なことが知られています。

活性酸素の量をできるだけ増やさず、ミトコンドリアをどう活性化させるか。

それを考慮して作られたのが「ミトコンウォーク」です、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

(文責:竹永百華)

 

参考文献:
卵子力をアップさせる「運動エクササイズ —ミトコンウォークー」
高齢不妊診療ハンドブック
マンガ生物学に強くなる 細胞、DNAから遺伝子工学まで
第 64 回 日本生殖医療学会学術講演会・総会 「生殖補助医療におけるウォーキング(ミトコンウォーク)の効果に関する検討
第 18 回抗加齢学会総会 「統合医療とミトコンウォークについて

 

 

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