尤度比を活用する(当院で使用カルテ例PDF有)

尤度比を活用する
(院内研修)

2021 年2月1日 すでに1月が経過して。
1月は、「コロナ」の影響と「雪」の影響でゆっくりとスタートをさせた一ヶ月でした。

そんな中で、私たちがのんびりと過ごしているかというと、この時期にしかできないことに、時間を使う。
タイミングとしては、昨年の緊急事態宣言が明けた5月頃に照準を合わせるのが良いのではないか。

時期的な予想は、あくまで準備をいつ頃にしようか。
この作戦を立てたタイミングは、コロナの感染者数が増えて、福岡も緊急事態宣言がでたころです。

現在の皆さんとの努力によって、感染者数が減って来ていること。
3月、4月に気温が上昇して、より換気ができると感染者数も減少するのではないか。

そこにワクチンの接種。

これまでと同じ生活に戻らないにしても、もう少し気楽に過ごせる日を私たちも待ち望んでいます。

院内研修

院内研修といっても、現在コロナ禍であり、当院も全員が揃って出勤するという状況を避けていること。
また、この鍼灸院の特徴として、鍼灸院として、「専門性を鍛える」ということをしています。

これは、鍼灸でできることは本来多いものの、鍼灸学校をでたレベルでは日常の臨床に対応することは難しく。
「鍼灸院にすでにある疾患」(疼痛、婦人科、耳鼻科、産科など)は、他の鍼灸院とは異なる。

他の鍼灸院を誰と名指して比較するのは、難しいので、
美容鍼灸で開業をしていた岩佐ゆかりの鍼灸院と比較をしてみても良いかもしれません。

当院では、1年間で、急性腰痛や、逆子といった単独の主訴で、初診患者さんが 100名を超えてきます。

それは普通の鍼灸院ではありえないことで、年間のトータルの新患さんが100名行かないのが通常です。

そうすると、ある疾患を経験スピードが全くことなる。

あとは、可能な限り、一つの疾患を集中して学ぶことで、情報をシングルタスクにすることで、
急速に学びが深まります。

この教育方法は、この鍼灸院の独自性の一つです。

診断学

私たち鍼灸師は、診断権を持っていません。

「そのため、この疾患ですよ。」断定を行うことはできません。

ですが、一方で狙いを絞らない限り治療も行えないため、
自分たちで、診断学の本を読みながら、診断に行き着くまでの
「プロセス」「検査精度」「治療の考え方」

治療を成立させるためには、実は「鍼をどううつのか」というところに
かなり神経を使っているし、治療以前のところを思いっきり鍛えています。

みんなそれぞれアンテナが違うし、のびたいポイントが違う中で、
話題は、「急性腰痛」はどうやって「急性腰痛」と言えるのか。

「急性腰痛」の特徴は、「急に起きた腰の痛み」と言うことは素人でもできます。

実際に当院でしている診断に行き着くまでのプロセスは、
「他の疾患を除外する」

ここの精度を高めていること。
再現性を持って考え共有していく。

この根底を共有した際、さらにより良い鍼灸院を目指して行けると考えています。

今はまだ、その過程を楽しんで成長をしています。

 2009

ありがたいことに、本当にトンチンカンな自分を暖かく指導をして下さった先生がいて、
そのお一人が故米山榮先生です。

鍼灸師になり、その後医師になり、神経内科医として鍼灸も愛し続けて下さった先生です。

2009年に「マクギーの身体診察学」これを読みなさい。

この本の中で特に意識をして理解をするように言われたのが検査と疾患の関係を示す2×2の表を理解しなさい。

この時の考え方のおかげで、現在の「PCR検査とはどんな検査精度を持っているのか。」
「PCR検査陽性の時の考え方」
「陽性でも陰性でも疑わしければ自宅待機」ということに対して、
自分の理解はTVなどのメディアで騒がれる内容に、自分の意思が左右されることはなくなりました。


国家試験を受けた後の私を含めた多くの鍼灸師の頭はこうです。
ある検査をして陽性だと「疾患がある」ある検査をして陰性だと「疾患がない」
これは、PCRが陽性だと「コロナがある」と考える。PCRが陰性だと「コロナがない」と考える。


実際の臨床では、こう行った2×2の表を考えます。
この検査は先ほどの表と違って、検査が陰性でも疾患がある場合もある(偽陰性)。
検査が陽性でも疾患がない場合もある(偽陽性)

さらに、通常は、検査値は誰かがここで線引きをしようという検査の線引きをしている。
その線の高さによって、陽性をどこで区切るか、陰性をどこで区切るか。

検査はやはり目的があり、スクリーニングに活用するのか。
確定診断のために活用するのか。

感度は疾患ありの中で、正しく検査が陽性になる割合。

特異度は、疾患はなしの中で正しく検査が陰性になる割合。

理想的には、感度100%  特異度100%の検査を医療に関わる方が目指していますが、
現実の世界は、このようになっています。

余談ですが、コロナに関しては、
陽性であっても、陰性であっても疑わしい場合にはステイホーム。
これは、重症度がすでにあれば陰性にもかかわらず入院にもなるし、
もっと治療が確立されれば、臨床的な行動は変わってきます。

「陽性や陰性をどう考えるのか。」
その結果、どうやって、行動するのか。

ここに、世の中の医師を中心に医療者が日々、限られたキャパとリソースの中奮闘されています。

ここで、見慣れない漢字が登場します。
尤度比(ゆうどひ)と読み、尤は、尤もらしい(もっともらしい)という意味があります。

「尤度比とはなんぞや。」

これはいったん置いておきます。

尤度比を臨床に生かす 大生定義:日本内科学会雑誌 2007 年4月号

(マクギーの身体診断学エビデンスにもとづくグローバル・スタンダード , 医学書院)

この二つで表現されるように、尤度比は一つの物差しです。
尤度比が陽性尤度比(LR+)が2の検査と、陽性尤度比が10の検査があれば、陽性尤度比が 10 の検査法の方がより疾患がある可能性を高める検査だということがわかるし。

陰性尤度比が0.5の場合には、疾患がない可能性が低くなる。

こんな指標を活用すると、
ぎっくり腰意外の病気を除外するのに役立つ。

そんな話を院内研修で行っています。

実際に、ぎっくり腰に活用しているカルテを添付していますが、
自分の知識を文章にしていくことがまだ不慣れで時間がかかってしまいます。

他の鍼灸師の先生から需要があれば追加で書いたりしたいと思います。

ダウンロードフリーですので、
ご自身で活用されたり、ご友人の方にもこんな方法あるよと教えて上げてください。

FACEBOOKやインスタでリアクションをいただけると、
とっても嬉しいです。

ダウンロード可能
急性腰痛問診表(PDFファイル)
腰痛尤度比(PDFファイル)

遠藤彰宏

大阪府出身
はり師
きゅう師
あん摩マッサージ指圧師

所属団体
JISRAM(日本生殖鍼灸標準化機関)
鍼灸SL研究会
日本臨床鍼灸懇話会
日本鍼灸師会
全日本鍼灸学会
福岡県鍼灸師会
福岡市鍼灸師会