これは突発性難聴なの?メニエルなの?

これは突発性難聴なの?メニエルなの?

「私は、突発性難聴なの?それともメニエルなの?」
患者さんよりよくいただく質問です。

鍼灸師という職業は、診断権があります。
ですので、あなたの場合は、「突発性難聴ですよ」「メニエルですよ」という立場には私たちはありません。

あくまでも耳鼻科医がどのように考えて、現在の診断名をお伝えしているのか。
それをこういう考えだと思います。

患者さんには、現在の自分の症状と診断名しか情報がなかったりしますし、
医師には詳しく病状を説明したり解説したりする時間はありません。

そこで、鍼灸師である私たちは、耳鼻科医が診断した診断名に至る「プロセス」「理由」を患者さんの病歴をお聞きした上で説明をするようにしています。

これは、「患者さんに現状を知っていただきたいこと」
「医師を疑いを持って受診するのではなく。現状を理解して治療に取り組んでいただきたいこと」
「患者さんが現状をより理解することで、医師にも質問が明確になる」

そんなことを目的にしています。

可能な限りわかりやすく解説をしてしまうと診断を行う耳鼻科の先生方からは、そんな単純なものではないとお叱りのお言葉をいただきそうですし、また難しい言葉を使えば患者さんの理解はできず元も子もありません。

ですので、ここではあえて、簡単に、わかりやすさを求めて患者さんのための文章を選択してみたいと思います。

何か少しでも、現状の理解が進む。
もしくは、過去の難聴の体験で、そういうことだったのか。

参考になれば幸いです。

田中はり灸療院 耳鼻科疾患 担当遠藤彰宏

突発性難聴の原因

「突発性難聴は,原因不明の急性高度難聴です。」

良く患者さんが抱いているのは「突発性難聴」っていうはっきりとした病気があると思っている。
もちろん、それは当然のことだと思います。

私も鍼灸師になるまで、この「病名」と「症状名」の違いなど考えることもありませんでした。

2012年に新しいガイドラインに改訂案が提出され
「1.突然発症」
「2.高度感音難聴」
「3.原因不明の3つ」が
全てあてはまるものが突発性難聴』と診断されます。
(厚生労働省特定疾患急性高度難聴調査研究班 2012年)

1と3に関しては用語・意味の確認は良いとして、
2の「感音難聴」というのは、内耳(蝸牛)→聴覚神経→大脳のどこかの経路の異常で難聴が起こっている場合を「感音難聴」と言います。
感音難聴と似た言葉で「伝音難聴」がありますが、これは外耳や中耳に問題があり音の伝わりが悪い場合の難聴であり、中耳炎や耳垢なども「伝音難聴」といいます。

「この3つが合わさった状態」が突発性難聴ということです。
では、耳鼻科医は最初に何をしているのでしょうか?

急性難聴と突発性難聴の図

原因不明というために除外診断

「原因不明」=突発性難聴の可能性が高い
もしくは、今日までの経過では突発性難聴の可能性が高く、突発性難聴と考えて治療を開始する

という状態になるまでの第一STEPは他の病気が隠れていないか。
他の急性感音難聴の原因になる疾患はないかを問診・身体診察・画像検査などを使って推定していきます。

「推定」の意味は、ある事実を手掛かりにして、物事を推し量り仮に判断すること

AかつBかつCならば結果として「突発性難聴」と推定する

ここでは病歴聴取はとても大切です。

患者さんが発症した時のエピソード。
いつ、どこで発症したのか。
思い当たる原因はあるか?
コンサートに行った、大きな音がする工場で働いている、ビンタをされた。
強くいきんだ。などなど

発症してからの時間経過。
難聴以外に、他の症状はあるか。
頭痛、吐き気、めまい、吐き気がないのに吐く、呂律がまわらないなど。

あとは、診察室での歩き方、話し方なども除外診断に役立てています。

患者さんが想像している以上に、診断のための情報ってお医者さんは診ていたりします。
最近は、WEB予約や、LINEでの予約なども発達してきたので、情報が減ってしまったのは、お名前、ご住所を書いていただく時の筆記も大切な情報源だったりします。

お医者さんって忙しすぎて、こんなところも実は診ているんですよとかいちいち解説しませんし、
診断結果は「病名」は伝えますが、「診断に至るプロセス」の共有はなかなかなかったりします。

本題の「突発性難聴なの?」「メニエルなの?」

「突発性難聴」なのか
「メニエル」なのか

これを判断するのは非常に難しい。

「1.突然発症」
「2.高度感音難聴」
「3.原因不明の3つ」

これなら「突発性難聴」

「1.突然発症」
「2.高度感音難聴」
「3.原因不明の3つ」

+「めまい」
これなら「メニエル」

これはわかりやすい例ですね。

難しいのは「メニエル」は「難聴+めまい」ということをすでに患者さんは知っていたりします。
では、めまいがないなら「めまい」ではないということを考える方がいます。

ここで、難しいのは、今度は症状によって病名がつくのではなく。
病因(病気の原因)によって診断名がつくという点がメニエルの特徴です。

メニエルは、内耳(蝸牛)部分のリンパ浮腫によって起こる難聴もメニエルという名前がつくので、
症状だけでは判断がつかず
「炎症が起きている」だろうから「突発性難聴」→ステロイド
「リンパ浮腫」を想定して「メニエル」→利尿剤

この時に、薬の効き具合によって検算の役割もあり、診断は正しいかったのかを検証していたりします。

初発なのか?再発なのか?

もう一つ大切なことは、初発なら突発性難聴だと考える。
再発ならメニエルを検討するという考え方もあります。

一方で、再発とはいえ「原因は尚不明のまま」であり突発性難聴というしかないというケースもあります。

大切なこと

もっとも大切なことは、「今この難聴に何ができるのか?」
病気を診断すること以上に、今可能な難聴の治療をスタートさせ、経過を含めて再検討し続けるということが大切です。

優先順位を考えながら、治療をしていくこと。

医師がどんなことを考えているのか。
言葉にはなかなか表現していないけど、いろんな情報を考慮して治療をしているので、ぜひ今回の記事も参考にしながら主治医の先生にも不安があれば相談してみてください。

非常に長い内容で記載をさせていただきましたが、私たちが日常で経験している耳鼻科疾患、突発性難聴、メニエル、外リンパ漏やなど記載できたのは、ほんの一部です。
現在は、当院へ新患の患者さんは年間600名を超える方が来院されますが、そのおよそ4分の1が耳鼻科疾患です。
当院での治療が皆様の一助になれるように、真摯に臨床に取り組んでまいります。

田中はり灸療院 遠藤彰宏

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