妊娠中のヘアカラー、本当に大丈夫? 経験者が知っておきたいリスクと安心ポイント
妊娠中の皆さん、おしゃれはしたいけど、お腹の赤ちゃんへの影響を考えると心配になりますよね。特に、これまで不妊治療を経験されてきた方にとっては、小さなリスクでも気になってしまうのは当然のことです。
今回は、妊娠中のヘアカラーについて「結局どうなの?」という疑問にお答えします。医療の観点から、皆さんが安心して判断できるよう、リスクと注意点を詳しく解説します。
妊娠中のヘアカラー、基本的には「問題ない」とされています
「妊娠中に髪を染めても大丈夫なの?」という疑問、多くの方が抱えているのではないでしょうか。
実は、現在の医学的な見解では、**妊娠中のヘアカラーは「基本的に問題ない」**とされています。カラー剤やパーマ液が頭皮から体内に吸収される量はごくわずかであり、通常の使用方法や濃度であれば、赤ちゃんや妊婦さん自身に大きな悪影響があるという医学的根拠は現時点ではありません。
しかし、「絶対に安全」と断言できるほど大規模な研究が十分に行われているわけではありません。だからこそ、心配な気持ちになるのは当然のことです。いくつか注意点やリスクも存在しますので、一緒に確認していきましょう。
妊娠中のヘアカラー:注意点とリスク
胎児への影響
通常の濃度・量で髪を染めた場合、薬剤が胎児に重大な影響を及ぼすとは考えられていません。
ただし、妊娠初期(特に妊娠12週頃まで)は、赤ちゃんの臓器が形成される大切な時期であり、化学物質への感受性が高いと考えられています。そのため、「もしも」を考えて、この時期のカラーリングを避ける選択をする方もいます。
妊婦さん自身へのリスク
赤ちゃんへの影響だけでなく、妊婦さん自身の体調変化にも注意が必要です。
- 肌トラブルのリスク: 妊娠中はホルモンバランスの変化で肌が敏感になります。今まで問題なかったカラー剤やパーマ剤で、突然かぶれたり、湿疹ができたりする場合があります。
- つわりの悪化: カラー剤やパーマ剤のにおいで気分が悪くなったり、つわりが強くなることもあります。
- 身体的負担: 美容院での施術中、長時間同じ姿勢をとったり、仰向けでのシャンプーが辛く感じることもあります。
セルフカラー(市販薬剤)のリスク
手軽なセルフカラーは魅力的ですが、いくつか注意が必要です。
- 刺激の強さ: 市販のカラー剤は美容院で使用されるものよりも刺激が強い傾向があり、肌への負担が大きくなりやすいです。
- アレルギーリスク: 美容院では肌に優しい薬剤や頭皮につかない施術方法(ゼロテクなど)を選んでもらえますが、セルフカラーではそれが難しい場合が多いです。
アレルギー疾患リスクについて
国内の大規模調査では、妊娠中の自宅での染毛の頻度が高い場合、お子さんにアレルギー性鼻炎などの関連リスクがやや高くなる傾向が報告されています。ただし、他の要因(交絡因子)を考慮して分析した場合、大きな関連性は見られませんでした。
つまり、過度に心配する必要はないものの、全くリスクがないとは言い切れないという認識が大切です。
妊娠中に髪を染めたいときのアドバイス
「おしゃれを我慢するのはストレス!」という方もいるでしょう。そんな時に、リスクを最小限に抑えるためのアドバイスをご紹介します。
1. 心配な場合は妊娠12週目までは控える
前述の通り、妊娠初期は特にデリケートな時期です。不安がある場合は、安定期(妊娠中期)に入ってからカラーリングを検討するのが安心です。
2. 自分で染めるより、美容院を選ぶ
セルフカラーよりも、美容院での施術をおすすめします。美容師さんは、刺激の少ない薬剤を選んでくれたり、頭皮に薬剤がつかないように塗布する「ゼロテク」などの技術を使い、頭皮への吸収を最小限に抑えることができます。
3. 妊娠中であることを美容師に伝える
予約時やカウンセリング時に、必ず妊娠中であることを伝えましょう。体調や成分に最大限配慮した薬剤や施術方法を提案してくれます。
4. 異常が出たらすぐに伝える
施術中に、頭皮のかゆみや痛み、気分が悪いなどの異常を感じたら、我慢せずにすぐに美容師に伝え、施術を中断してもらいましょう。
5. 長時間施術や強めの薬剤は避ける
体調への負担を考慮し、長時間の施術や刺激の強い薬剤は避けてもらいましょう。リタッチカラー(根元だけ染める)や部分的なカラーもおすすめです。
避けた方が良いヘアカラーの成分
特に注意が促されている染料成分があります。
- パラフェニレンジアミン(PPD:パラアミノフェニルジアミン) 一般的なヘアカラー剤、特に白髪染めや黒色系カラーに多く含まれる染料成分です。アレルギー反応を起こしやすく、皮膚炎、呼吸困難、目の炎症などを引き起こすリスクがあります。海外では一般向け使用が規制されている国もあります。
- アミノフェノール類(パラアミノフェノールなど) PPDの代替成分として使われることがありますが、こちらもアレルギー反応のリスクがあります。
- レゾルシン、過酸化水素 色素の発色や脱色剤として配合されますが、肌への刺激が強い成分です。
妊娠中のカラー選びアドバイス
- 「ジアミン系(PPD系)」と書かれていない、ヘアマニキュアやカラートリートメントは比較的安全とされています(髪の表面に色をつけるタイプ)。
- 美容院で「ジアミンフリー」「低刺激」など、肌への負担が少ない薬剤を選んでもらいましょう。
- 必ずパッチテストをしてから使用しましょう。ホルモンバランスの変化で、今まで問題なかった成分でもアレルギー反応が出る可能性があります。
美容院での施術時にできること
美容院でヘアカラーをする際に、ご自身でできる対策もあります。
- 妊婦であることを必ず伝える: 事前に美容師へしっかり伝えましょう。最適な薬剤や施術方法を提案してくれます。
- 刺激の少ない薬剤を選択する: 「ジアミンフリー」「低刺激」「オーガニック」など、アレルギーや肌トラブルのリスクが低い薬剤や、頭皮につけない塗り方(ゼロテク)などを選ぶと安心です。
- 施術前にパッチテストを行う: ホルモンバランスの変化で今までなかったアレルギー反応が出る可能性があります。必ずパッチテストをしてからカラーを行いましょう。
- 必要最小限の範囲にとどめる: 頭皮からの吸収や不快感をできるだけ減らすため、根元だけを染める「リタッチカラー」や、全体ではなく部分的なカラーを選ぶのも有効です。
- 体調が悪い時・長時間施術は避ける: つわりが辛い、体調が優れない日は無理せず控えましょう。また、体に負担がかかる長時間の施術やシャンプーを避け、適度に休憩を取りましょう。
- 薬剤のにおい・換気に配慮する: 妊娠中は臭いに敏感になりやすいため、換気の良いサロンやにおいの少ない薬剤を使用してもらいましょう。
- アフターケアの徹底: 施術後は丁寧なシャンプーやトリートメントで頭皮と髪の健康を守りましょう。保湿ケアやUVケアも重要です。
まとめ
妊娠中のヘアカラーは、現在の医学的見解では「基本的に心配ない」とされています。しかし、ご自身の体調や不安な気持ちに寄り添い、賢く選択することが大切です。
気になることがあれば、必ずかかりつけの産婦人科医や担当の美容師に相談し、ご自身の体調を第一に考えて判断してくださいね。
おしゃれを楽しみながら、穏やかなマタニティライフを過ごせるよう、心から応援しています。