産声に秘められた命のはじまりのサインとは?

産声に秘められた
命のはじまりのサインとは?

新生児が誕生した瞬間にあげる「産声」。

それは単なる泣き声ではなく、生命の始まりを告げるサインです。

今回は、産声がなぜ上がるのか、そのメカニズムと、赤ちゃんの呼吸・発声機能の発達についてお話します。

産声をあげるのはなぜ?

赤ちゃんが産声をあげる一番の理由は、気道に詰まった粘液や羊水を排出し、自力での呼吸を開始するためです。

胎内で羊水に満たされていた肺は、誕生とともに空気を吸い込み、機能し始めます。

  1. 吸気:赤ちゃんはまず大きく息を吸い込みます。
  2. 呼気:次に、その空気を強い力で吐き出します。このとき、気道内に残った粘液や羊水が空気と一緒に排出されます。

この強い呼気の際に、声帯が振動して出るのが「産声」です。

まさに、気道をクリアにして肺呼吸を始めるための、反射的な「叫び声」と言えます。

日本語では「オギャーオギャー」と表現されますが、実際にはゴロゴロとした雑音も混じっています。

これは気道が完全にきれいになっていないために生じる音です。

しかし、数回泣くうちに気道が浄化され、呼吸機能が安定することで、声が澄んできて泣き方がリズミカルになります。

 

日本声楽発生学会理事長・米山明博士は、産声を

「胎盤とへその緒に頼り切っていた胎児の期間から、自らの肺で大気中の酸素を取り込み、呼吸をして生きていくヒトとしての誕生を告げるドラマチックな声」

と表現しています。

産声は、単なる不快感の訴えではなく、生理的な変化に適応するために重要なのです。

赤ちゃんの発声と身体の成長

新生児の時期から、赤ちゃんの声は驚くべきスピードで発達していきます。

赤ちゃんの咽頭の位置は、成長とともに変化します。

妊娠6週 第2頸椎の高さ
新生児 第3〜4頸椎の高さ
小児 第5〜6頸椎の間よりやや上の高さ
成人 第6頸椎下端の高さ

このように咽頭の構造が大人と異なるため、赤ちゃんは鼻で呼吸しながらミルクを飲むことができます。

赤ちゃんの咽頭腔は非常に狭く短いため、鼻から吸った空気が直接咽頭に入る構造になっており、ミルクが気道に入るのを防ぎます。

ミルクは気道の両脇を通って食道へと流れるため、むせることなくスムーズに哺乳できるのです。

これは大人にはできないのです、不思議ですよね。

なぜ赤ちゃんの泣き声は
大きく、遠くまで響くのか?

赤ちゃんの小さな体から響き渡る大きな泣き声。

実はこれには、「発声にとって非常に理想的な身体条件」がそろっているからなのです。

声が出やすい脱力した状態
大人が大きな声を出すときには、「あくびをするような感覚」が理想的とされます。

これは、のどが自然に開き、口の中が声の響きに適した形になるからです。
赤ちゃんが泣くときも、同じように全身の力が抜け、のどが大きく開いた状態になっており、非常に効率よく声を出せる姿勢なのです。

仰向けの姿勢がのどを開きやすくする
生まれたばかりの赤ちゃんは、仰向けで過ごす時間がほとんどです。
この姿勢は、呼吸や声を出す筋肉(呼吸筋・咽頭筋)がよく働くため、のどが自然に開き、声がよく通ります。

横隔膜をしなやかに使える
赤ちゃんは仰向けに寝ていることで、横隔膜に重力の影響がかかりにくくなります。

その結果、息を吐く力がしっかりと出せ、大きくて力強い声を出すことができます。
体全体を使って泣いているため、声も枯れにくいのです。

よく響く「耳に届きやすい音域」
赤ちゃんの泣き声は、人間の耳がもっとも敏感に反応する周波数(およそ1000〜4000Hz)に自然と集中しています。
このため、比較的小さな声でも遠くまで響き、しっかりと大人に届きます。

泣き声は命を守る大切な手段
赤ちゃんは言葉や動きで自分の状態を伝えることができません。
そのため、「おなかがすいた」「苦しい」「不安」など、生きるために必要な訴えを泣き声で必死に伝えようとします。

最後に

赤ちゃんの産声は、単なる泣き声ではありません。

新生児が自らの力で生きていくための最初の生理的な挑戦であり、その後の発声・呼吸機能の発達、そしてコミュニケーションの基礎を築く重要なステップです。

小さな体の中に秘められた、生命の神秘と力強さを感じさせる瞬間と言えるでしょう。

仕組みを知ることで、泣き声に対する見方が少し変わるかもしれません。

(文責:竹永百華)

 

参考本:声のなんでも小辞典ー発声のメカニズムから声の健康までー 著:和田美代子、監修:米山文明

 

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