精子のDNA損傷と修復について
DNA損傷
一般にDNA損傷は1日1細胞あたり数万〜数百万の高頻度で生じるとされています。その損傷は紫外線や放射線、あるいは抗がん剤を始めとした化学物質などの外的要因と、活性酸素などの細胞内に生じる代謝物質によって生じます。
人間の細胞は様々な要因によりDNA損傷を受ける一方、生じたDNA損傷を即座に正確に修復する仕組みを有しています。
DNA損傷の種類や程度、さらに修復能により修復が可能かどうかが決まり、修復不可能の場合には細胞機能の低下(老化)や、重症であれば細胞死(アポトーシス)を生じることになる。
精子と卵子では形成や構造の違いによりDNA損傷および修復能は大きく異なります。
精子はDNA修復能を有していないため、生じたDNA損傷がそのまま残ることになります。
精子核のDNA正常性の評価は受精後の胚の発育や着床後の流産の有無と関係があると考えられています。
卵子及び胚とDNA損傷
卵子は細胞内に蓄えられた修復能を用いてDNA損傷を修復しています。
また卵子には精子核DNAの損傷を修復する機構が備わっており、受精後、第一卵割前までにDNA切断に対する修復機構が働くとされています。
卵子による精子の核DNA修復に関連して、卵子が修復をかけた場合は、受精後の胚の発育速度が遅延するということも証明されています。
不妊治療において、女性側が高齢の場合の治療で最も重要な点は、卵子側の精子核DNAの修復機構を担う分子の細胞内での発現量が加齢とともに減少していくという点です。
つまり、高齢由来の卵子ほど、精子核DNAの修復能力が低いために、核DNAの損傷が程度の大きい精子が卵子と受精した場合はその影響が大きく体外受精の結果に反映される可能性があります。
精液検査において精子核DNAの損傷の程度を検査することは男性側の妊孕力の主要部分を評価することに等しいと言えます。
精子がDNA損傷がある場合にも、損傷のない精子と比較して精子形態や運動性、受性能に大きな違いはないとされています。
精子は精巣上体を通る過程でDNA損傷が生じるため射出精子のDNA損傷は精巣内精子と比較して高くなっています。
そのため乏精子症の症例においては精巣内精子を用いることが効果的としています。
また、精巣上体に長期間とどまる精子はDNA損傷を受ける機会が増加し、損傷を受けた精子から発生する活性酸素にも暴露する機会が増加することから、禁欲期間は2〜4日が7日以上より妊娠率・生産率が良いとされています。
DNA修復機能改善のためにできることは?
DNA損傷は生活習慣との関連が指摘され、タバコや薬剤、汚染、肥満、運動不足、食生活の乱れなどが関与しているとされています。
活性酸素がDNA損傷を引き起こす原因とされています。精索静脈瘤による精巣温度の上昇、濃精子症が精子DNA損傷を増加させる要因となるこも指摘されています。
また、細胞の加齢によりDNA修復機能の低下が生じ、細胞機能が低下していることも要因のひとつです。
高齢の女性の卵子や未熟卵では細胞内のDNA修復機能が低下しています。
良い卵胞発育により良好な卵子を採取することが必要です。
また、体内でのDNA損傷を引き起こす要因である活性酸素に対して、抗酸化剤が有効であるとされています。
メラトニンは抗酸化剤であり卵子内での活性酸素の蓄積を防ぐ働きがあります。
さらに、栄養状態や生活習慣が卵子と胚の質を決める重要な要素とされています。
肥満と酸化ストレスは関連し食事と運動を行うことで肥満がもたらす影響を減らし、妊娠率、蓄積妊娠率や流産率を改善できるとされています。
(文責 辻 尚美)
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