「内膜の血流を上げたい」

バイアスピリンの処方は、着床への一助になるのか?

不妊治療中の患者様から、移植を控えてこのようなご相談を受けることがあります。

「子宮の血流を良くしたくて、先生にバイアスピリンを処方してもらったのですが、これって本当に効果があるのでしょうか?」

検査で明らかな異常がない場合、その処方の意図や意味が気にかかるのは当然のことです。

今回は、最新の研究データ(メタアナリシス等)に基づき、移植期におけるバイアスピリン使用について解説いたします。

本来の目的と異常がない人への効果

バイアスピリン(低用量アスピリン)は、血小板の凝集を抑えて血栓を防ぐ薬です。

本来は「抗リン脂質抗体症候群」など、血栓傾向のある方の流産予防に用いられるのが標準です。

では、検査で異常がない方への投与はどうでしょうか。

世界的な研究データをまとめた報告(Siristatidisら, Cochrane Database 2016)等のメタアナリシスでは、「不妊症患者全体に一律に投与しても、生児獲得率は向上しない」という結論が出ています。

つまり、「魔法の薬」として誰にでも有効であるというエビデンスは現時点では確立されていません。

「意味がある」と考えられるケース

しかし、臨床現場で処方が行われるのは、特定の条件下でメリットがある可能性が示唆されているからです。

  • 微細な「抗炎症作用」への期待 有名なEAGeR試験(Sjaardaら, 2017)の解析では、体内の炎症マーカー(高感度CRP)が高い女性においてのみ、アスピリン服用により妊娠率・出産率が有意に向上したと報告されています。
    過剰な炎症は着床の拒絶反応を招くため、アスピリンが内膜の受容能(インプランテーション・ウィンドウ)を整える助けになります。

  • 子宮動脈の血管抵抗の改善 一部の臨床報告では、子宮の血流抵抗が高い症例において、アスピリンが血管抵抗を減少させることが示されています。
    検査数値には現れないレベルの血流不全が着床を妨げている場合、その阻害要因を取り除く一助となります。

なぜ「血流」が変わるのか

バイアスピリンは、血小板にあるシクロオキシゲナーゼ(COX-1)という酵素を不可逆的に阻害します。

  • トロンボキサンA2の抑制: 強力な血管収縮作用を持つ物質を抑えます。

  • プロスタサイクリンの相対的優位: 血管を拡張させる物質の働きを阻害せず、結果として血液を固まりにくくし、末梢血管を広げる方向に働きます。

これが、子宮内膜の微小循環(ミクロの血流)を改善させると期待される根拠です。

鍼灸師として

私たち鍼灸師の立場から見ると、バイアスピリンは血液の「質(粘り気)」を整える化学的アプローチです。

一方で、その整った血液を実際に子宮へと運び、血管を物理的に拡張させるのは自律神経の得意分野です。

アスピリンで「巡りやすい血液」を準備し、鍼灸で「巡らせる体」を創る。このダブルのケアは、移植に向けて非常に合理的かつ相性の良い組み合わせと言えます。

主治医が「OK」を出されたのは、単なる気休めではなく、副作用のリスクを最小限に抑えつつ、患者様個別の状況(炎症リスクや内膜の状態)においてプラスになる可能性があると判断された結果です。

当院では、こうした薬剤の薬理作用を正確に理解した上で、鍼灸によるアプローチで補助を行い、着床精度の向上を目指しております。ご自身の治療方針について疑問や不安がある際は、客観的な視点からいつでもアドバイスをさせていただきます。

(文責 遠藤真紀子)


参考文献:

  1. Siristatidis CS, et al. Aspirin for in vitro fertilisation. Cochrane Database of Systematic Reviews, 2016.

  2. Sjaarda LA, et al. Preconception Low-Dose Aspirin Restores Diminished Pregnancy and Live Birth Rates in Women With Low-Grade Inflammation. J Clin Endocrinol Metab, 2017.


 

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