松浦悠人,米倉まな『メンタルヘルス鍼灸-基本の「キ」』

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メンタルヘルス鍼灸 基本の「キ」

4.23(日)フォレオ博多で、松浦悠人先生、米倉まな先生に福岡に来ていただきセミナーが無事に開催できました。

今回は、田中はり灸療院の小坂知世が事前準備から、講師のお二人とミーティングを重ねて当日を迎えることができました。
お二人の講師の先生と小坂は、まな先生主催のオンラインサロンここちめいど」を通じて出会い。
「全日本鍼灸学会という学会での研究発表をする仲間」

お二人のお人柄を知っているからこそ、関係性があるからこそ実現したセミナーです。

本当にお二人には無茶ぶりをしていまして
「日常のお二人の臨床がみたい」

これは本当めちゃくちゃ知りたいのに。
これってできそうでできないんです。

極端な例で行けば、
実際の臨床の時に、「患者さんー治療者」の間で透明人間になって、
どんな挨拶から始まるのか
どんな言葉を選ぶのか。
患者さんとの距離はどうなのか。

横並び?90度?向い合わせ。

これって、問診のスタート地点の話を先に書いてしまいましたが。

来院するまでの導線ってどうしているの?
事前に問診票を書いていただき、送信される。

いや、全て当日に書いてもらう。

自分でするのか。
スタッフがするのか。
学生がするのか。

これはまな先生のように「鍼灸院」
松浦先生のように「大学の鍼灸院」

見たいに「場」が違うとそれぞれの患者さんに関わるポイントも誰がも変わってくる。

私たちの日常の当たり前って本当に当たり前なのか?

それすらわからないところに現状と問題意識を私たちは持っていて、
それをどんな形で患者さんと向き合っていくのか。

 

問診の場面

お一人の患者さん 今回は当院の福地弓子がモデルでした。

福地弓子の事前情報は共通していて、
問診部分はできる限り、講師のお二人は共有しないように努力をしてくださりました。

先入観をなくして問診をしていただく。

そうすると、
同じような質問でもちょっと返答のニュアンスが変わってみたり
表情が違う。
声のトーンが違う。

これはお一人お一人の講師が患者さんと作る空気感なんだなぁ。

初診の想定なので、これは2診目、3診目って関係性が深まってくるとより色濃く出て違いに現れると思う。

 

診察

松浦先生の診察は「鍼灸大学の鍼灸院」ということもあり、ここでは研修制度や学生もいるために「教育」という要素が問診・診察・治療の中に現れてくる。

身体診察の中では表情筋の検査、眼輪筋の検査、反射など神経診察も行われている。

鍼灸学校の教育というのは学校ごとに教育内容は委ねられていて、カルキュラム・単位など各学校が共通している最低限の要素はあるものの、その専門性はかなり異なる。

もう20年以上も前になるが、森ノ宮医療学園っていい教育をしていただいてたんだなぁとふと思い出すこと。
また、その後の米山榮先生の神経内科医の診察・治療を横で体験していることはやはり財産であり、

松浦先生の診察をみて、もう一度丁寧にここは磨く必要があるなぁと再認識をさせていただきました。
一緒に傍楽仲間も「神経学的所見」を「知っている」「知らない」「できる」「できない」
どうやって解釈するのか。臨床的な思考はまだまだできていないと感じたのではないだろうか。

 

鍼灸治療

鍼灸治療は誰にどんな影響を受けて形成されていくのだろうか。

昔は弟子教育が主であったため、師匠の流れを辿ることができた。

松浦先生はお父様も鍼灸師で、大学、大学院、埼玉医科大学への研修などルーツと教育の中で、ご自身を磨かれてきた鍼灸。
芹澤勝助先生の治療が基本ベースにあるというお話がセミナー内でも出てきました。

今回のセミナーでは鍼灸学生の方も多く参加されていたが、この流れも含めてこういった形で鍼灸をしていく人がこの鍼灸界の主流とは言い難い。選択をすればもちろん道はあるが、全員望めばできる道ではない。

まな先生は、師匠を持たずに鍼灸師になっているため、何かのはっきりした流れが存在するわけではなく。
学校の授業、セミナー、学会で学び独自に吸収して発展させていって今の「型」になっている。

って私は思っていたら、
『私は在学中からセミナーよりも鍼灸院にたくさん行っていたし、自分が患者だったので、イメージしながら勉強をする事ができました』
まなさんの鍼灸を作っているのは、自分の経験と体験を組み合わせているのかも知れない。

学生の方が多いのはこのまな先生のケースで、
弟子入りしなくてもできる方法があるんだ。

これがどれだけ多くの鍼灸師に勇気をもらえることか。

企画の想い

少しセミナー当日の話から今回の企画段階の思いに話を戻しますね。
今回企画した小坂は、鍼灸学校を卒業して当院で傍楽ようになったわけではありません。

鍼灸学校を卒業して求人募集を探すも自分が働きたい場所がない。
小坂は開業という選択をします。

開業は、開業届を出して、どこで鍼灸をするか考えれば、できる。
開業は簡単にできます。

でも、事業として継続するか。
どうやって経営をしていくのか。
その中で治療をどうやって行い、患者さんの「問診」「診察」「治療」をどう行なっていくのか。

課題はそれぞれ異なるが、小坂は「どんなふうに来院した方に接して、治療していけばいいか」
ここに課題意識をもっていました。

だから、「あの時の、鍼灸学校を卒業してすぐの困っていた私」
そんな私が欲していたセミナー内容を必要としている人が、きっといるはず。

その欲していた時の私を、この二人の講師なら埋めてくれる。

そんな想いが詰まったセミナーなんです。

それが学生の方、新卒の方、ベテランといった幅広い人が参加してくれたことで、
それぞれの方にどんな届き方をしたのか。

私たちもとても気になっています。

小坂の想い、講師の想いそれぞれが誰かの今を、ちょっと背中を押せていたら嬉しいです。

鍼灸治療2

鍼灸治療の話題に戻りますね。
お二人の治療ともに、「優しい」「美しい」「包まれている」「安心感」
そんな印象を抱います。

治療を受けていても気持ちいいだろうなぁ。

あー自分の思考も身体も委ねられる。

もう鍼灸治療を受け続けている私は、
気持ち良さそうな治療を見るとよだれが出ちゃう。
もう想像するだけでニケやちゃう感じ。
お二人を知っているからバイアスかかっているのかなぁ。

「手捌き」「所作」「沈黙」
どれにも意味があるんだろうなぁ。

こんなに人の治療をみることができる時間もないので、本当に贅沢な時間でした。

田中はり灸療院としては全員でセミナーに参加したので、個々がどんな受け止め方をしたのか。
それぞれの視点、感性、課題によっても受け取り方が違ってくるだろうなぁって思いながら、
振り返り中です。

たくさんの刺激をありがとうございました。

次回は7月に県外からまた講師の先生をお呼びして開催をしたい。
あとは、今年来ていただく先生方に何回もきていただきより深くお一人の先生方から学びたい。
ご負担もあると思いますが、断片的に学ぶのではなく、繰り返すことで、深みがましていく。
鍼灸治療ってその方の人生が詰まっているから、1回でわかるわけがない。
知れば知るほど奥が深い先生方。

(文責:遠藤彰宏)

講師

松浦 悠人
博士(鍼灸)
東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科で助教として臨床・研究・教育に従事。専門分野は精神科領域の鍼灸治療で、主にうつ病や双極性障害、不安障害の患者さんに対する鍼灸治療の有効性に関する研究を行う。
学会活動
全日本鍼灸学会
日本東洋医学会
日本温泉気候物理医学会
日本うつ病学会
日本自律神経学会
日本統合医療学会
埼玉鍼灸学会
役職
全日本鍼灸学会 臨床情報部 エビデンス委員会委員
埼玉鍼灸学会 編集委員
現代医療鍼灸臨床研究会 評議員

米倉まな
三重県出身
はりきゅう処ここちめいど院長
オンラインサロンここちめいどサロンオーナー
厚生労働大臣認可はり師、きゆう師
産業カウンセラー
全日本鍼灸学会 会員
2022年3月武蔵野大学通信教育部人間科学部人間科学科心理学専攻。
卒業中学時代の不登校、就職後の原因不明の体調不良、20歳頃からはうつ病、パニック障害、自律神経失調症、双極性障害等を発症。
投薬療法を始め8年が過ぎた頃に鍼灸と出会い、一時は1日30錠以上になっていた薬を自然と断薬。なぜ自分に鍼灸が効いたのかを知りたく、鍼灸専門学校に入学。
整骨院・病院勤務後にまな鍼灸堂、後のはりきゅう処ここちめいどを開院。
自身の経験を元にメンタル鍼灸を掲げ、患者に寄り添った施術を行いつつ、全国の鍼灸師が心に寄り添えるよう、オンラインサロンここちめいどを運営している。