鍼灸学校の学生さんの臨床実習終了
鍼灸学校の学生さんの臨床実習終了
8月に鍼灸学校の学生さん3年生が2名。
10月に2年生が1名。
臨床実習の受け入れが終了しました。
ご協力いただきました皆様ありがとうございました。
この制度は「はり師及びきゅう師臨床実習指導者講習会」を受講し、臨床実習を実施するための研修を受けて初めて受け入れが可能となります。
当院では遠藤真紀子がその修了者です。
鍼灸学校では「はり師」「きゅう師」になるための座学はもちろんですが、実技の授業、各学校にも臨床実習施設があるので、一定程度の臨床教育は受けております。
しかし、卒後に免許を取得し、各鍼灸院が日々どんな臨床をしているのか。
同じ免許でありながら、やっている工夫は全く異なります。
「調理師免許を持っている」=「同じ飲食店」とならないように
「はり師」「きゅう師」の免許を取得しても表現する「鍼灸治療」「鍼灸院」はすべて異なります。
「一人の鍼灸院」「夫婦の鍼灸院」「複数人の鍼灸師がいる」「ベッドの数」「立地」「目指す鍼灸院の形」「歴史」「鍼灸院 or 鍼灸整骨院」
「治療がメインなのか」「美容がメインなのか」「どんな年齢層の患者さんが来院されるのか」「現代医学的、東洋医学的その割合は10対0 5対5」
「どんな経験をしてきたのか」
パッとあげるだけでもキリがないですね。
どの鍼灸院がいい、悪いはなくみんな違うことは明らか。
そんな中で、当院を希望した学生さんは希望鍼灸院が被りじゃんけんで勝ち取った人が当院に来ている。
鍼灸院での臨床実習先が少ないこと。鍼灸整骨院の方が受け入れが多い。
また、複数人の鍼灸院が在籍している珍しい鍼灸院のため、どんな働き方をしているのかが知りたい。
また異なる臨床歴の鍼灸師がいるためそれぞれの年数によって成長する過程を知りたい。
私の1年後はこんな鍼灸師になれるかな?
2年後 3年後 20年後はこんな感じなのかな?
もしかしたら20年経過してもこのレベルなの?って考える人もいるかもしれませんね。(冗談です)
臨床実習を受け入れるにあたって大切にしたこと
「背伸びをしない」 「等身大の自分達を見てもらう」「わからないことはわからない正直に伝える」(でもここまでは考えているけど、この先がわからないということは伝え一緒に悩む)
「仲間として受け入れる。お客様扱いはしない」「患者さんにとっては学生というのは関係がない。1日1日が勝負という現場に混ぜる」
「学びを最大化するために、初日の数分、数十分が最大化する鍵だと思ってその時間はこれまで以上に気配りをする」
「仲間を信じる。委ねる。自分の強み、仲間の強みを意識して行動する」
「自分の学生時代を振り返っても、何かを学べた、身についたということはその期間では難しいが、大切な種を渡す」
「鍼灸師になって鍼灸を患者さんに提供することは鍼灸師代表として鍼灸治療をしているという意識を持ってください」
師にいただいた言葉を自分なりに伝える
「目標」「目的」「手段」を分けて思考し、手段の話だけにならないように努める。
例)こんな症状で悩んでいる患者さんが来院した場合にはどんなツボに鍼をしますか?
のような質問には質問で返したり、問いを考えられるように一緒に考える。
これはあくまでも私が大切にしたことであり、それぞれの仲間はどんなことを考えていたのか。
また、どんな学びがあったのかはまた火曜日もミーティングの時間にでも振り返りたい。
臨床実習を実際にやってみて
私がこの鍼灸院を引き継ごうと考えた時に、
この鍼灸院のビジネスモデルを壊すと決めました。
それは、同族経営であり家業である鍼灸院。
以前の弟子制度の脱却。
私と妻二人で鍼灸院をするのではなく、仲間を増やす。
雇用を生み出すこと。
一緒に学び成長できる環境を創る。
まだ誰もみたことがない鍼灸院を創る。
そう思って未来から逆算して、まだまだ未完成な現在地だけれど、大切な仲間との今がある。
その断片を一緒に過ごすことで私たちにも大切な気づきがありました。
「この鍼灸院が代々受け継がれているものは何かありますか?」という問いを学生さんにいただき、
「私たちが教わり受け継いでいるものは生き方です」ということをお話しさせていただきました。
「鍼灸師という職業に誇りを持って生きる」
「自分の技術が人に役立つ喜び」
「他の医療とは異なる価値を持っている治療としての鍼灸」
「1対1の時間を丁寧に取りながら鍼灸だけではなく私という人間で患者さんと向き合うことができる仕事」
「目の前の患者さんが鍼灸でよくなりましたありがとうと言っていただける日常」
自分が尊敬してやまない鍼灸師をやっぱりかっこいいなと今でも思っているし、
全然足元にも及ばないと思っているし、
偉大すぎて諦めたこともたくさんある。
この方たちと出会ってきたから、今があり前を向いて生きて来れたことを思い出させてくれました。
臨床実習にきた運のいい学生さんにしか直接伝えることはしないけれど、その人たちに委ねて、その人たちの影響がまた次の誰かに。
そして未来の患者さんの笑顔につながっていくと信じています。
貴重な機会をありがとうございました。
(文責:田中はり灸療院 遠藤彰宏)