顔面神経麻痺になったらまず読むページ

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顔面神経麻痺を発症した際には、あまりに経験がないためまず思うのは、「何か脳に異常があるのか?」「命に問題はないのか?」
顔面神経麻痺の8割はベル麻痺またがHunt症候群です。
脳が問題で顔面神経になる割合は少ないですが、
「手足の麻痺がない」
「自分でこのWEBに検索することができて、書いている内容を理解できる」
「他の方との会話ができる」
「麻痺以外には症状がない」という時には心配している脳が原因のいわゆる中枢性の顔面神経麻痺というのは非常に確率が低くなります。

中枢性の顔面神経麻痺にしても、末梢性の顔面神経麻痺に対しても早期の病院での治療が必要になりますので、耳鼻科や脳神経外科、神経内科を受診して治療を開始してください。
糖尿病や、妊娠中に顔面神経麻痺になった場合には主治医の先生とも連携が必要になってくるケースがありますが、発症して早期に治療を優先しなければいけない場合には顔面神経麻痺を治療してもらう医師のアドバイスに従いましょう。

発症初期(急性期)/ 回復期

  • 発症後早期に医療機関を受診し、適切な薬物療法(ステロイドや抗ウイルス薬)を開始することが重要。発症から3日以内の治療開始が望ましいとされています。
  • リハビリテーションやセルフケア:
    • 発症初期から10日間程度は、角膜の保護を優先し、過度なストレッチや運動は避ける
    • 2週間後くらいから、目を大きく開ける練習などのリハビリを開始。ただし、リハビリは専門家の指導のもと、慎重に行うことが望ましいです。

自己判断で治療を中断せず、医師や専門家と連携しながら、鍼灸治療などを含めた適切な治療を選択することが大切です。
発症初期も慢性期も同様ですが、顔面神経リハビリが大きく一般の方と異なるのは、強い動きを徹底的に避ける。
「麻痺しているから動かさないといけない」という思い込みを壊す。
一般的な脳梗塞や、骨折後のリハビリのように動かさなければいけないというのは顔の麻痺にとってはやってはいけない中の大切な一つです。
「どうやってリハビリをしたらいいかわからないならできるだけ使わない方が良い」というのは大切な心構えだと思います。

発症して、お顔を動かすことができる。できないというのは、あくまでも神経がどれだけ損傷しているのかを考える目安ではあるのですが。
動きが悪い=重症度ではないところが近年の電気の検査でわかってきています。

そのため電気の検査を受けることができると、「予後診断になる」「手術が必要かの情報の一つになる」
一方で、「手術が必要かどうかの判断にだけ電気の検査を行い」すべての顔面神経麻痺患者さんに医療機関では検査を行なっているわけではないので、そのあたりはかかりつけ医に「現状や予後を客観的に知るにはどうしたら良いでしょうか」と相談してみましょう。
そうすると「心配なら検査しますか?」「検査は必要ないと考えています。なぜならばといった説明をしてくれるでしょう」

また顔の表情が動きが出始めるまで不安があると思いますが、損傷した神経は1日1mm再生するというのが神経生理学的なおさえておかなければいけないメカニズムです。
心構えとしては、春に咲く花が寒い冬に根を伸ばして春に準備をするように。 神経も動き出すまでに、丁寧に再生を待つ必要があります。
神経の途絶えた長さが3cmの方で30日。9cmなのであれば90mmとこの日数の目安は最初の損傷度合いによるため、回復期では鍼灸やリハビリで丁寧な回復が必要にもなりますし、
発症初期には、損傷度合いを最小限にするために炎症を抑える薬により治療をできるだけ早く行う必要があります。

このメカニズムから、鍼灸院単独で顔面神経麻痺を治療をすることは当院では考えておらず
顔面神経学会のガイドラインに従い病院での治療を急性期に行いながら、早いタイミングでの鍼灸治療、リハビリ治療が最も良いアプローチだと考えています。

全般的な注意点

  • 精神的なケア:
    • 顔面神経麻痺になると、外見の変化から精神的に落ち込むことがあります。家族や友人、医療従事者に相談し、精神的なサポートを受けることが大切です。
  • 眼球の保護
    • 麻痺により目が閉じにくい場合は、角膜が乾燥しないように、点眼薬を使用したり、保護眼鏡をかけたりする。
  • 生活習慣:
    • 十分な睡眠 、休息をとり、ストレスを溜めないように心がける。
  • 情報収集:
    • 信頼できる情報源から正しい知識を得て、間違った情報に惑わされないように注意する。
    • 不安なことがあれば、医療従事者に相談する。

これらの情報源は、顔面神経麻痺学会でのリハビリテーション技術講習会も含め、顔面神経麻痺患者さんを普段から治療しているものが情報を提供していますが、個々の症状や状況に合わせて、医師や専門家と相談しながら適切な対応をとることが重要です。

 

慢性期・後遺症がある場合


顔面神経麻痺における慢性期の定義についてまずは考えてみたいと思います。

上の図は、縦軸が柳原法というお顔の表情の動きを10項目で点数をつけていく検査で、4点✖️10項目で40点が満点です。
その柳原法と、電気の検査ENoGのパーセントをグラフ化で示したのがこの図です。
重症な方は発症して4ヶ月頃から8ヶ月の頃も回復を認めますので、回復期とも呼ぶことができますので、期間というよりも「顔面神経麻痺の回復が緩やかになった」「顔面神経麻痺の回復が停滞してきた」ときを慢性期としてここでは定義させてください。

  • 顔面神経麻痺診療ガイドラインでは、重症例の場合、1年までしっかりと経過をみるべきであるとされています。
    鍼灸院では2年近く回復する方がいますので、それぞれの方と治療する期間は相談して決めさせていただいています。
  • 後遺症は発症後4か月から6か月ぐらいで起こってくる。
  • 麻痺が慢性化すると感覚の異常、こわばり、突っ張り、痛みが出現し、患者さんのQOLを低下させる。
  • 顔面神経麻痺診療ガイドラインのQ&Aでは、後遺症が残ると判断された場合に定期的に鍼灸を受けることを選択肢の一つとしています。
  • 病的共同運動や顔面拘縮などの後遺症が出現した場合は、適切なリハビリテーションや鍼灸治療を受ける。
  • 顔面マッサージ:
    • 顔の筋肉を意識的に動かすリハビリは、かえって症状を悪化させる可能性があるため、避ける。
    • マッサージを行う場合は、自分の筋肉を使わずに、外からの力で皮膚を優しく動かすようにする。
  • 表情:
    • 顔を大きく動かす運動や、個々の筋肉を意識して動かす訓練は、現在では推奨されていません。
    • どうしても顔を動かすリハビリを行う場合は、鏡を見ながら、一つのパーツだけを意識して、一つの筋肉だけ動かす。
  • 電気刺激:
    • 顔面への電気刺激は、病的な共同運動を誘発し、症状を悪化させる可能性があるため、禁忌となり現在は行わないことが多い
    • 特に、発症初期から強い筋収縮を起こすような電気刺激は避けるべき。
  • 鍼灸:
    • 鍼灸治療は、発症早期から行うことで、後遺症の予防につながる可能性がある。
    • 鍼灸治療を行う場合は、顔面神経麻痺の治療に詳しい専門家を選ぶことが重要。
  • ボツリヌス治療
    病的共同運動を後遺症で認める場合にはボツリヌス治療も病院では行なっているので、症状の強さ、日常生活での困り具合によって相談をしましょう

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